アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝6 〜覆面の警護者〜 |
アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜 〜第2部・第4話 大規模襲撃2〜 デュリシラ「・・・流石としか言い様がありません。スミエ様のお力は何度か拝見しましたが、その 淵源は絶対不動の概念が据わっているからこそでしょう。」 スミエ「長い間、色々な事に五感を研ぎ澄まし続けて来ました。それ相応の流れは把握できます。 まあTちゃんの方が、私を超える直感と洞察力を持っていますからね。それにはまず敵い ませんけど。」 ミスターT「あら・・・直感と洞察力が最強なのはシュームじゃないのか。」 紅茶を啜りながら思った。スミエが言う直感と洞察力は、シュームの人を見極める動物的 本能の集大成ではないようだ。俺にその様な力があるとは思えないが・・・。 シューム「私の場合は初対面やその後の人物を見ての、本能的見定めによるものよ。しかも限定的な 力と言っていいわ。君のは大局的に物事を見定める流れね。そして私が人を見るように、 君は世上を見る目がある。」 スミエ「ですね。ただそれも得手不得手があるので、全部が全部そうだとは限りません。むしろ究極 の一手と言うか、その概念の持ち主はミツキ様とナツミA様だと思います。」 ミツキ「うぇーい! そんなに凄いわぅか?」 ナツミA「私自身はどうか分からないけど、ポチのは生命尊厳を体現しているからね。スミエさん・ シュームさん・Tさんの概念を遥かに超越しているし。そして・・・。」 スミエ「ええ、それは全ての人間に内在する生命の力と。」 ナツミA「ハハッ、お見事です。」 ナツミAが述べようとした事をスミエが先読みすると感嘆している。と言うかこの場合だと、 全ての人間に内在する力の淵源とも言える。それを開花しているのがミツキであり、誰もが 持っていて出せる力の1つなのだ。生命とは本当に素晴らしいとしか言い様がない。 ミュセナ「私達宇宙種族も、スミエ小母様が仰られた概念が当てはまります。むしろ長い間大宇宙を 旅してくれば、何が貴く偉大なのかも痛感しますし。」 エリシェ「生命の力、私達に内在する限りない力と。」 ナツミYU「何だか凄いですよね。」 今の流れで一同して思ったようだ。自分自身に内在する生命の力は、何ものにも勝る偉大な 力であると。それが人間・宇宙種族、強いては万物全てに内在しているのだ。この淵源の理は 本当に凄いとしか言い様がない。 ミスターT「・・・ますます以て奮起せねばならんわな。」 ビアリナ「大切な生命の力を汚されないように、ですね。」 ミツキ「わた達のワンコパワーを駆使して、悪党なんざ素手で捻じ伏せてやるわぅ!」 ナツミA「ワンコパワーねぇ・・・。」 何ともまあ・・・。それぞれが己の生命の力を感慨深く思っている所に、見事なツッコミを 入れてきた。それに笑ってしまうのは、彼女の術中にハマっている証拠だろう。 ナツミYU「と言うか、ここの事務所の名前はケルベロス警護団でしたよね。」 シューム「正に地獄の番犬・・・。」 ミツキ「肉球ショックでモッフモフにしてやんよ!」 ナツミYUと初めて出逢った時に紹介したのが、ここがケルベロス警護団という事だった。 しかし今では喫茶店自体が常駐基地になっており、全く言われなくなっていたが。また彼女は 俺の意識がある状態では初めてだが、記憶を失う前には会ってはいる。 ミスターT「さて・・・どうするか。」 俺の言葉に周りの面々は小さく頷いている。先程から明確な殺気を感じていた。ただここは 市街地であり、下手をすれば負傷者が出かねない。 ミュティナ「任意的範囲拡大縮小可能バリア発生装置・・・まあ長いですが、これがあればお住いの 方々は守れます。それに必殺は敵味方識別可能バリア発生装置と。」 ミスターT「後方の憂いは絶てる訳だの。」 ミュセナ「むしろ、こうなると肉弾戦で挑んだ方が負傷者は最小限で済むと思いますよ。射撃武器を 使うと危険性が増しますし。」 シューム「ほほっ、肉弾戦なら得意中の得意よ。」 両腕の拳を鳴らしながら臨戦体勢に入る彼女。確かにシュームは射撃やダンスアーツよりも、 殴り合いやプロレス技が得意と言っていた。またここにいる大多数の面々が当てはまる。 ミスターT「俺達だけを明確に狙い続けるかね・・・。」 エリシェ「住人を人質に動く、ですか。敵方の狙いは私達になると思うので、卑怯な手を使うなら それでしょうね。」 ビアリナ「少し離れた場所で戦った方が良いでしょうか?」 シューム「大丈夫だとは思うけど。」 雑談をしながら臨戦体勢に入っていく面々。今回は護身用の拳銃のみにし、主軸は肉弾戦で 戦う事にした。地元だとお住いの方々に被害が及ぶ可能性も十分ある。 ミツキ「うぃ〜・・・ヒック、酔っ払っちまったぃ〜・・・。」 突然ノンベエを演じ出し、そのまま店外へと出て行くミツキ。その姿に呆気に取られるも、 ここは先手を打ち出した彼女に追随するしかない。彼女が表に出る事で、その後がどうなるか を注意深く探った。 ミツキ「うぃ〜・・・何見てるんじゃーぼけぇー!」 ナツミA「はぁ・・・。」 ミスターT「・・・合図だな。」 店外に出て数分もしないうちに、彼女のボケの啖呵が飛び出してきた。直後、敵方の断末魔が 響き渡る。それに俺達は笑いながらも、突破口を開いてくれた彼女に続いて行った。 店外に出た俺達は、既に大暴れを開始しているミツキを目の当たりにする。と言うかそれ 以前に現状に驚愕した。コミケの会場で襲来してきた人型機械兵器が、夥しい数で埋め尽く していたからだ。ただ、人型機械兵器なら殺気を感じる事はできない。 そして俺達が微力の殺気を感じたのは、特殊部隊の兵士達を凌駕する殺気に満ちた兵団が 混ざっていた事だ。これは戦い自体を好む傭兵の類、完全に殺人集団と取っていい。つまり 相手は何振り構わず襲撃を開始したという事だ。 ミスターT「・・・俺も地球人が嫌いになりそうだわ・・・。」 エリシェ「ハハッ、また自己嫌悪ですか。それは悪党軍団だけに済ませましょうよ。」 エルシェナ「そうですよ。全ての地球人が悪ではありません。明らかに私利私欲に溺れた愚者が該当 します。マスターが思われている、世界にお住いの方々は全く別です。」 ミスターT「そうは言うがな・・・。」 喫茶店前の路地が大変な事になっている。バリアやシールドの恩恵で、周りへの建物には 被害が及ばないのは確認した。しかし襲来し続ける人型機械兵器や傭兵軍団との殴り合いが 凄まじいまでに発展していた。 シューム「へぇ・・・ナイフやダガーすらも通らないのねぇ。」 ナツミYU「バリアとシールドが身体を金剛の如く守護している、と言いますか。」 デュリシラ「頼もしい力ですよ。」 傭兵軍団はナイフやダガーを使っての近接戦闘を繰り出して来ている。本来ならそれで致死力 は十分あるが、バリアやシールドの効果で全く以て意味をなさない。仕舞いには俺達に斬り 付けた得物が砕けてもいる。2大宇宙種族のテクノロジーは恐ろしいものだわ。 エリシェ「あ・・・はい、分かりました。マスター、ウインド様とダークH様からご連絡が。日本 国外に大規模な軍勢が出現したとの事です。」 ミスターT「同時襲撃か・・・敵は総力でこちらを潰しに掛かって来たという事だな。」 とんでもない事に発展したものだ。地元への局地的な襲撃ならまだしも、今度は国外からの 襲撃が行われだしたという。以前は端的な流れだったが、カルダオス一族の支援を受けた事に より勢いを増したのだろうな。 エリシェ「日本全体の防衛は、4大ガンシップにより何とかします。私達はこちらを集中した方が 良さそうですね。」 ミュセナ「一応、衛星軌道上からのピンポイント狙撃はできるようにはしてあります。それに皆様と 志を同じにする躯屡聖堕チームの方々が、“一人立つ”の精神で動かれています。国内の 護衛は4大ガンシップの方に任せてくれとの事ですよ。」 ミスターT「本当に頭が下がるわ・・・。」 ほぼ単騎で戦えるほどの実力を持ちながらも、志は俺達と唯一不二の様相を抱いている彼ら。 本当に脱帽するしかない。 前にも言ったが、躯屡聖堕チームの根底概念は揺ぎ無いものだ。また大企業連合に所属する 社員全員も同じだ。実際に最前線で世上の悲惨さを目の当たりにしてきた。それにより、少し でも現状を変革しようと集い合ったのがここである。 力とは使ってこそ真価を発揮する。しかし一歩間違えばマイナス面へ引き込まれかねない。 そこを間違えないように進むのが、お互いを戒めてくれる存在であろう。俺達も常日頃から その姿勢を貫いてきた。 誓願へ向けての異体同心の心構え。純然たる生き様を刻むには、生半可な一念では絶対に 突き進む事などできはしない。彼らの姿勢が正にそれを物語っている。だからこそ、これらの 戦いには意味があるのだ。 エリシェ「それに私達が戦う事で、今まで虐げられてきた女性の方々が奮起もしだしていますよ。 トラガンの面々しかり、躯屡聖堕チーム・大企業連合の面々も。」 ミスターT「レプリカ大和やレプリカ伊400では男性陣が目立っていたが、実の所は女性陣が多い という事か。」 エルシェナ「司令塔を担って頂いている方々は、エリシェ様が見込んだ一騎当千の人材ですので。 それ以外でのメンバーは9割以上が女性ですし。」 何度か共闘をした躯屡聖堕チームの面々は、男性陣が多いと思っていた。しかしそれは氷山 の一角に過ぎなかったようだ。実際には女性陣が多く在籍しているとの事。ここで俺達と共闘 している面々も、俺や四天王以外は全員女性である。 ミスターT「・・・何時の時代も、破壊と混沌をもたらすのは野郎の業か。今の時代こそ、女性が 台頭すべきだわ。」 エリシェ「ハハッ、また自己嫌悪を。ですが実際にそうだったのが確かですよね。」 ミスターT「ヘシュナやカルダオス一族がどう思っているかまでは分からん。しかし彼女も女性で ある以上、その深層を知った時がどうなるか気になるわ。何にせよ、ここで負けたら 今以上に女性方が虐げられる。俺も罪深い野郎の中の1人だが、それだけは何としても 阻止してやるわ。」 この傭兵軍団の雰囲気を見ると、女性を慰めの道具にしか思っていないのが分かる。身内の 女性陣を見る目が明らかに違う。それはヘシュナやカルダオス一族を除く、敵対する勢力の 最もたるものだろう。 近場にいるトラガンの女性メンバーに集中攻撃が向けられる。その彼女を背後から持ち上げ 空中に放り投げた。そこに俺と傍らにいたミツキと一緒にクローズラインを傭兵軍団に放つ。 空中に放り投げた女性メンバーは、背後にいたミュセナが見事にキャッチしている。 ミスターT「このカスどもめ・・・。」 ミツキ「むふふっ♪ Tちゃんが女性の視点に立ってるわぅね!」 怒りが沸々と湧き上がってくる。その怒りを出せずに苦しんでいるのが女性陣だろう。数々 の愚弄や陵辱も、反撃や言葉を挙げられずに苦しんでいた。痴漢など以ての外だ。しかし過去 にミツキに言われた事がある。女性とは目の前の右往左往には動じず、遥か先の物事を見定め ていると。野郎だけだ、目の前の右往左往に動じているのは。 シルフィア「まあ君の怒りの部分は分からないでもないけど。」 シューム「フフッ、良いではないですか。上辺では色々と色目使いの彼も、深層一念だとこの様相に なるのですから。私は昔、女に生まれて後悔した事がありました。ですが今はその女に 生まれて幸せだと痛感します。こうしてT君に労われる幸せを。」 スミエ「遠縁冥利に尽きます。彼が皆様のお役に立てる事自体が誉れ高いですよ。」 迫り来る傭兵軍団の首根っこを掴み、そのまま豪快に地面へと叩き付ける。スミエもプロレス 技が使えるとは驚きだが、そこに明確な怒りが込められているのは確かだ。 ミスターT「エリシェが発案した、性転換してのトラガン潜入捜査が功を奏した形だわ。暫くの間、 女性の目線に立って物事を見続けて来た。その集大成が今なのだろうな。」 ナツミYU「逆に、今度は私達が男性目線に立つ必要もありそうですね。」 シューム「性転換の逆バージョンかぁ・・・それはそれは。」 逆の事は考えていなかったようで、その話を聞いたシュームがエラいニヤケ顔になっている。 また他の女性陣も同じくニヤケ顔になっていた。深層は分からないが、未知の体験をしたいと いう現われだろう。俺からすれば遣る瀬無い気分だが・・・。 ミツキ「わたが性転換したら、やんちゃ坊主まっしぐらわぅね!」 ナツミA「FF6のガウさんそのものかもね。」 ミツキ「がぅがぅ! やったるがぅー!」 ・・・この美丈夫達のネタの発想には、意表を突かれるのは言うまでもない。当然笑って しまうのも術中にハマっている証拠だろう。本当に素晴らしい女傑だわ。 ミスターT「全部終わらせて、全員して数週間はハワイ辺りでバカンスをしたいものだわ。」 エリシェ「以前も仰っていましたね。まあそれは全てが終わってからにしましょう。色々と考えて ありますので。」 ミツキ「食っちゃ飲んで寝ての繰り返しわぅ! 俺たちゃ山賊わぅぜぇー!」 ミスターT「・・・全部が終わったらな。」 大パーティーに大歓喜のミツキ。今まで以上に暴れ出す姿は、本当に暴走機関車としか思えて ならない。しかしその力が自分達に内在しているものだとすれば、彼女の力の淵源は非常に 些細な野望が活力になっているのだろうな。俺達も彼女の様な姿勢を貫きたいものである。 その後も大乱闘は続く。純粋に俺達だけを狙ってくるとあり、喫茶店前からゆっくりと近く の駐車場へと移動した。ここなら被害は駐車中の車両だけになる。人的被害に至らないなら 全く問題ない。 しかしこの人型機械兵器と傭兵軍団の混成部隊は良く組まれたものだ。人型機械兵器の方は コミケの会場で対峙したのと全く同じタイプだが、どうやら動きは異なっているようである。 傭兵軍団の方はナイフやダガーを使う戦闘スタイルなだけに、それが殺人技として繰り出して いるのは言うまでもない。 明確に敵意と殺意を剥き出しにするなら好都合だ。こちらも全力を以て叩き潰せるという ものだからな。人型機械兵器だけなら獲物を出して叩き壊すのだが、傭兵軍団は人間だ。下手 な行動をしようものなら殺してしまいかねない。相手が極悪であれ、殺人はご法度だ。 後半へと続く。 |
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