アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第3部・第04話 人工生命体2〜
    ヘシュナ独自の治療法を受けて数週間で、右肩全体は完全治癒した。しかもその治療は身体
   全体にも及ぼすため、以前よりも増して体調がすこぶる快調である。更に人体自体にも影響を
   及ぼすため、運動能力や思考力が半端じゃないぐらいまでに高まってしまった。この部分には
   彼女自身も驚いている。

    そこで身内の主力メンバー全員にこの手法を施す事にしてみた。もし俺みたいに運動能力や
   思考力が強化されるなら、相当な有効打になるだろう。しかもバリアやシールドとは違い、
   己自身の強化になるため隙がなくなる。試しにシュームから行ってみたが、俺の予想は大いに
   当たる事になった。

ミスターT「はぁ・・・。」
シューム「私でもビックリ・・・。」
    丸1日掛けて電気治療法をシュームに行うヘシュナ。その後の流れは逸脱したものになる。
   元来から格闘センスが高い彼女は、今まで以上に素速く動けるようになったのだ。しかも彼女
   十八番の直感と洞察力が半端じゃないレベルにまで至っている。
ヘシュナ「なるほど、電気治療法と題したこれは正に特効薬そのものですね。」
ミスターT「人体自体に眠れる力を引き出す感じか。特にその人物が一番得意としている力、それを
      最大限高めるみたいだ。連中にバリアやシールドの効果が発揮できない場合の、奥の手
      となり得るわ。」
シューム「むしろバリアとシールドを人間のウィークポイントのみに集約し、重点的に守るのも1つ
     の手よね。後は負傷しないように振舞うしかないけど。」
   たった1日でシュームの潜在能力は引き出された。と言うか、俺の場合は3週間近くもその
   治療法を受けている。治療法と言うより強化法か。もしかしたら・・・。

    近場にあったペーパーナイフを持ち、自分の左手に突き刺してみる。それに2人は驚くが、
   次の瞬間更に驚くべき事が起こった。何と自然とペーパーナイフが抜け落ち、刺した箇所が
   直ぐに癒えだしたのだ。数十秒後には元の姿に戻っている。

ミスターT(・・・ミツキ、これ見てたか?)
ミツキ(おおぅ! まるでリヴィオちゃんの様な身体再生能力わぅよ!)
ナツミA(正直に言いますと・・・バカげてますよそれ。)
    今の行動を念話を通しオープンで行ったため、周りの面々にも伝わったようである。確かに
   “トライガン・マキシマム”はリヴィオ氏の超絶的な身体再生能力そのものだ。兵装云々の
   具現化までは分かるが、まさかあの再生能力すらも具現化できたとは・・・。
ミュティナ(あー、それですか。私達もその能力を有していますよ。恐らくヘシュナ様の能力で代謝
      促進が促され、通常の正常な身体情報を維持しようと繰り返すのでしょう。以前私が
      射線軸上に手をかざし、撃たれた後に回復をしだしたのと同じです。)
ミュセナ(へぇ・・・人間種族には出せないと思っていたけど、ヘシュナ様の力が覚醒のキーとなる
     とは驚きよね。)
ルビナ(私も同じ電撃を繰り出せますが、恐らくヘシュナ様のとは全く別だと思いますよ。私のは
    物質を破壊する方に力が作用すると思います。対してヘシュナ様の力は物質を再生する、
    または生命体自体の再生能力を向上化する力があると思われます。)
ミスターT(人知を超えた超能力そのものだわな・・・。)
   3大宇宙種族たる彼女達なら、その代謝促進能力が逸脱しているのは良く分かる。しかし俺達
   人間にはその能力は微々たるもの。切り傷などは時間を掛けて治癒していくのが普通である。
   それがヘシュナの能力の影響で極限にまで高まったと言えた。

シューム(この能力って、カルダオス一族全員に備わるものなの?)
ヘシュナ(恐らくそうだと思います。ただ皆様は戦闘力の方が特化されているので、特殊能力の方は
     私が一番強いと思われますが。)
ヘシュア(姉様の能力は一族で最強ですから。姉様でしか出せない力の1つかも知れないですよ。)
ミスターT(なるほどな。)
    俺とシュームに繰り出した後のヘシュナの様子を見るも、それが自然的で当たり前の繰り
   出しのようで負担は掛かっていない。むしろ逆に影響し合うのか、以前よりもその能力が強く
   なっている感じがする。これは不測の事態としての有効打にするしかないか。
ヘシュナ(了解です。皆様方にこの強化法を施してみますね。)
ミスターT(はぁ・・・直ぐに読まれるのがな・・・。)
シューム(以前よりも増して読み易くなってるわよ。それにヘシュナちゃん自身にも相互作用がある
     みたいだし。ここは君が言う様に不測の事態を想定し、私達全員に施すのも戦略の1つに
     なるわね。)
ヘシュア(私もトライしてみますよ。もし有効なら姉様にだけ負担は掛かりませんし。)
ヘシュナ(ありがとう。)
   何だか凄い事になりそうな気がしてきたわ。代謝促進能力に身体再生能力の超強化か。運動性
   や思考力などの力も上がるのだ。生物自体の潜在能力を極限にまで高めるようである。

ミツキ(でも副作用とかないわぅかね?)
ナツミA(あるとすれば人間生命体を超えた形になるかも知れないわね。)
ミツキ(うぬぅ・・・わたは凡夫のままが良いわぅよ。)
ミスターT(ハッハッハッ! 凡夫のままが良いか、それも一理あるわな。)
    ミツキの素朴な疑問に悪いと思いながらも笑ってしまった。確かにこの超強化により人知を
   超えた状態になれば、それは人間ではなくなるという事になりかねない。強いては凡夫でも
   なくなるのだ。それも一理あると思う。
ミスターT(恐らくこの場合は人間生命体自体の代謝促進だけだろう。凡夫の境涯自体は消える訳
      ではないだろうし、全く問題ないと思うわ。)
ミツキ(うーむ、身体自体の強化に留まるわぅか。それだけなら安心するわぅけど。)
ミュティナ(それを言うなら、お兄様の性転換を繰り返した事にも当てはまりますよ。人知を超えた
      様相になりますし。この場合は別物だとは思います。)
ミュセナ(生命体・・・この場合は身体・筐体かな、そこへの強化になる訳よね。生命自体への影響
     はないと思うし。故にミツキ様が仰った凡夫への影響などは皆無だと思います。)
ミスターT(生命哲学の理、か。生命自体は奥が深いわ。)
   ミツキが危惧するそれは、自身が人間を超えた形になるという部分だろう。しかしそれは身体
   自体に影響するものであり、生命自体に影響を及ぼすものではないと思われる。実際に身体を
   操るのは精神であり生命になるため、そこまでは超強化には至らないと思う。

ヘシュナ(ミツキ様の凄さをより一層痛感しました。ミツキ様はあくまでも、生粋の人間としての
     生き様を刻まれたいのですね。)
ミツキ(この身体で生を受けた自体、そのままで寿命を全うしたいものです。ただし、その拘りで
    不測の事態を招くのも利口ではないですし。そこまで愚かではありませんよ。)
ミスターT(ミツキの概念は、あくまで人としての存在で有り続けたいというものだな。それは俺も
      同じだが、力があるのに使わないのは時として不幸を招く事にもなる。俺は一時的な
      戦闘力の強化なら良いと思うよ。)
ミツキ(そうですね。)
    ヘシュナが言う様に、ミツキの純真さを痛感させられた。見事としか言い様がない。そこに
   彼女の強さも垣間見た感じである。

    彼女はこの代謝促進能力と身体再生能力を嫌っている訳ではなかった。一時的に人としての
   当たり前の部分から遠退くため、その有難みを忘れる事への危惧なのだ。それは間違いなく、
   人としての当たり前の概念になる。

    何処までも人として有り続けようとするミツキの姿勢には、人間の真の極意を垣間見た感じ
   になる。それは即ち、己が凡夫のまま切磋琢磨するという部分に帰結する。

    中半2へと続く。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

戻る