アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第8話 国家間外交1〜
    超大型豪華客船によるハワイへの渡航。俺の恐怖度を感じさせない程の船体は、現地までの
   道中は非常に穏やかにいられた。これが航空機や一般船舶だった場合は・・・。

    今回の様相は全く掴めない。またハワイでは各国の首脳が会議を行うという事で、その警護
   も併せてのものになる。

    まあ確実に分かる事が2つある。1つは今までの相手とは段違いの敵が現れるという事、
   もう1つはミュティナ3姉妹が必ず狙われるという事だ。

    しかし3姉妹により、重力制御の施しを受けている。例の特殊なペンダントだ。これにより
   従来の重装備が軽装備になるだろう。如何なる手段を投じてでも、3姉妹は必ず守り通して
   みせる。



    日本は東京湾を出発し、アメリカはハワイ・オアフ島に到着は3日を要した。というかこの
   超大型豪華客船の足で、である。従来は1週間以上掛かるそうだが、船体の超強度による強引
   な航海ができた形だ。

ミツキ「常夏のハワイに到着わぅー♪」
    例の如く、ハワイの港の桟橋には超大型豪華客船は接岸できない。小型船舶に乗り替えて、
   現地に上陸する事になる。ちなみにシルフィアを含むエリミナチームは超大型豪華客船で待機
   という事になった。
ミスターT「エリミナ達も来たがってたがね。」
シューム「全て終わったら、1週間ぐらいはバカンスするわ。その時に全員呼べばOKよ。」
ナツミYU「ハリアーU隊は言わば空母の艦載機そのものですから。超大型豪華客船の守備としても
      活躍して頂かないと。」
エリシェ「大丈夫ですよ。いざとなったら秘密兵器を出しますから。」
   今後の不安を払拭するかのような発言をするエリシェ。彼女が大企業連合の総帥なだけに、
   それがハッタリに聞こえないのが不気味である。

ミスターT「さて・・・これからどうするね?」
エリシェ「指定会場まで向かいましょう。明日行われる国家間会議の護衛任務が一応の本題です。」
ナツミYU「そこに連中が来るかも知れないという事ね。」
    軽く化粧直しをするナツミYU。外交モードに入る際はこうして身嗜みを整えるのだとか。
   対してシュームは素面姿を貫いている。というか彼女、化粧を一切しないのだとか。それで
   いてこの美貌だからな・・・。
ミツキ「わた達はどうするわぅ?」
ウエスト「ミツキ嬢とナツミA嬢はマスターと行動を。俺達はミュティ・シスターズの身辺警護を
     中心に動くよ。」
サイバー「姉御方が言う真の敵がこちらに向くなら、皆さん方は言わば切り札ですからね。」
ナッツ「なーに、纏めて守り通せば済む事っすよ。」
エンルイ「万事お任せを。」
ナツミA「そうね、分かったわ。久々に本気を出せそうだしね。」
   ナツミツキ姉妹に四天王が揃い踏みの現状、この6人が1つである事を痛感せざろう得ない。
   この覇気は並大抵のものではないわ。

ミュティナ「守られっ放しでは忍びありません。私達も暴れてやりますよ。」
ミュティラ「父や母には穏便に進めと言われていますが、時と場合によっては本気も出さねば。」
ミュティヌ「やったるじぇ!」
    ノースリーブにミニスカートという普通の女の子の出で立ちの3姉妹。しかし背中に背負う
   本物版パニッシャーがそれを打ち消してしまう。本来なら相当な重量なのだが、例の重力制御
   の理の前では竹ぼうき並だと言うのだから怖ろしい。
シューム「何かアキバに行っても通用しそうな姿よね。」
ミスターT「コスプレか。今度コミケ辺りに出てみるかね。」
ナツミA「いいですね。と言うか私達の戦闘スタイル、それがそのまま通用しそうですけど。」
ミツキ「暴れてやれわぅー!」
   そう言えば以前、ミツキに誘われてコミケに赴いた事があった。自分の出で立ちからして、
   何らかのゲームのキャラクターなのかと問われた事も。普段から刻む警護者としての生き様、
   これがゲーマーの方々からすれば新鮮に見えるのだとか。嬉しいには嬉しいが、何かパッと
   しない心境だ・・・。


    簡単な打ち合わせを行い、それぞれ行動を開始しだした。ナツミツキ四天王やエリシェ・
   ラフィナ専属の9女傑は、ミュティ・シスターズの護衛を行ってくれると言う。四天王の力は
   承知済みだが、まさかエリシェ・ラフィナ直属の9女傑も加勢してくれるとは。

    ちなみにエリシェ・ラフィナは俺達と行動する事になった。まあ俺自身もいるし、更には
   ナツミYUにシュームもいる。そしてミュティナから託された重力制御ペンダントもある。
   怖いものなど何もないわな。

    リュリア・アサミ・アユミは超大型豪華客船で待機して貰った。彼女達は警護者ではなく
   一般人である。まだ本船の方が安全だ。それに現地には恩師シルフィアがいる。青髪の鬼神が
   いてくれれば、怖れるものなど何もない。

    今回の依頼は多重になる。ミュティ・シスターズを狙う愚物と、国家間外交会議に現れる
   であろう愚物だ。はたしてどんな様相か、十分注意して動かねば。



ミツキ「凄いですね、地球上で一番力を持つ国家の首脳陣が集まるとは。」
エリシェ「昨今の世界情勢から対話を重視する流れが強くなっています。今回はその先駆けとなる
     国家間外交と銘打ってのものでして。」
    流石のミツキも各国の首脳陣が集まる場所では語末“わぅ”は使わないようだ。しかし逆を
   言えば、その生き様を示したら凄い事になりそうだが・・・。更に驚いたのは、今回の国家間
   外交はエリシェの発案のようである。
ナツミA「本来なら和気藹々と行きたい所なんだけど、それぞれの国家は利権やら何やら裏の要因が
     見え隠れしているからね。エリシェさんやラフィナさんが携わる三島ジェネカンとは全く
     異なるものよね。」
ミスターT「悪い言い方では、誤った力の使い方だわな。」
   首脳陣の身辺警護は直属のシークレットサービスが担うようで、俺達は外交が行われる建物の
   周辺警護を任された。流石に頭を守らせてはくれないようだ。まあ逆を言えば、それだけ楽が
   できるというものか。
シューム「で、前回の様に不貞腐れを演じる訳ね。」
ナツミYU「半分は本音から至るものですけど。」
ミスターT「俺達は与えられた任務を全うするのみよ。それに本題はミュティ・シスターズの方だ。
      正直な所、国家間外交に興味はない。」
ミツキ「身内を最大限守り抜いてこそ、ですからね。」
   新たに製造した本物パニッシャーを持つミツキ。両腰に愛用のマグナムを持つも、その漆黒の
   十字架オブジェたる獲物の威圧感は凄まじい。トライガン・マキシマムでは、劇中でラズロ氏
   が持つ3挺のうちの1挺である。模造品であれど、その力は間違いなく引けを取らない。

ミスターT「警護者故に何を持っていてもお咎めなし、か。」
ミツキ「フフッ、これこそ我が力の証ですよ。最低限の武装は持たないとね。」
ナツミA「さっきマスターも言ってましたよ、誤った力の使い方をするなと。直接的な力であれば、
     この位の武装はないと話になりません。」
    背中に担ぐ愛用のスナイパーライフル。それ以外に時限爆弾切り離し事変、通称ブラジャー
   作戦時に用いたスーパースナイパーライフルを持つナツミA。ミツキが動なら、ナツミAは
   静となるだろう。シュームとナツミYUと同じ気質である。
ミスターT「俺も何か作って貰うかなぁ・・・。」
ミツキ「Tさんならダブルファングとか合いそうですね。」
ナツミA「それかダブル方天戟か。」
ミスターT「そっちの方がしっくりくるわ・・・。」
   同じくトライガン・マキシマムはリヴィオ氏の獲物、ダブルファング。マシンガンを上下左右
   逆に連結させた形のものだ。丁度4枚羽根風車の2枚を用いた形に見える。ただ前後に銃口を
   配置しているため、下手をしたら自身を撃ちかねない危険な獲物でもある。
エリシェ「アレですよね、双胴のライトセーバーと同じく扱いが難しいと。」
ミスターT「アレも相当扱いが厳しいと思えるが・・・。」
   エリシェが示したのは、スターウォーズ・エピソード1はダース・モール氏の獲物だ。双胴の
   ライトセーバーと特殊な武器である。前者の銃口問題よりも深刻で、下手をしたら一発で首が
   飛びかねない。

ミスターT「と言うか、エリシェやラフィナがアニメや映画に精通しているとはね。」
エリシェ「息抜きを知らない時は、ただ学問がその方法でした。しかしミツキ様に色々と教わって
     いくうちに、何時の間にか結構ハマってしまいまして。」
ラフィナ「こう言っては大変失礼ですが、こんな面白い世界もあったのですね。」
    エラい瞳を輝かせて語る2人。あの暗号たるオーダー66を告げた時に、その元ネタを即座
   に把握したのだ。今では更にその世界を知ったようで、大企業連合の総帥とは思えない程の
   オタク風な雰囲気も出している。
ミスターT「今度みんなでアキバにでも行くかね。」
ナツミA「いいですね。」
ミツキ「アレわぅよ! コスプレして出陣するわぅ!」
   興奮気味に語ってハッとするミツキ。普段の語末“わぅ”に戻ってしまった事に。それに俺は
   笑ってしまった。周りの女性陣も釣られて笑っている。
シューム「うんうん、ミツキちゃんはその生き様が一番合ってるわね。」
ナツミYU「ですね。無理して形作るより、自然体でいた方が楽ですよ。」
ミツキ「う〜む・・・善処しますです。」
ミスターT「何とも。」
   ミツキの生き様からして、凝り固まった姿は全く似合わない。超自然体で接してこそ真骨頂と
   言える。逆にナツミAは超自然体の極みに近く、恩師シルフィアに勝るとも劣らない覇気は
   凄まじいものである。この姉妹は本当に全てを超越しているわ。

    しかしまあ、国家間外交と言うだけある。地球上での力を持つ国家の首脳が揃い踏みだ。
   会議の内容自体にはノータッチだが、これで少しは良い世上になれば幸いだが・・・。



ミスターT「・・・暇だ・・・。」
    どれぐらい経過しただろう。粗方大会議場へと入っていた首脳陣。それから会議らしい事が
   行われている。内容はノータッチだが、一時期の物凄い重厚な警備が薄くなっていた。
ミスターT「そう言えば、ミュティ・シスターズ達は何処に行ったんだ?」
エリシェ「アリゾナ記念館にいます。ミュティ姉妹様方が地球の歴史を知りたいと申されまして。」
ミスターT「アリゾナ記念碑、パール・ハーバーか・・・。」
   かつて旧日本海軍が奇襲攻撃をした港、日本人として絶対に避けては通れない場所の1つだ。
   ミュティ・シスターズにとって、その歴史はどう見えているのだろうか。
ミスターT「同じ日本人として申し訳がないな・・・。」
ラフィナ「確かに。しかし今、アメリカとは友好国の関係です。過去を振り返るのも大切ですが、
     本当に大切なのはその遥か未来。」
ナツミYU「そうね。それに警護者を行う以上、端から見れば傭兵そのものだからね。忌み嫌われ
      たとしてもおかしくはない。」
シューム「それこそ、今後をどう尽くしていくか。ここが大切よ。幸いにも警護者としての力を駆使
     すれば実現可能だし。」
ミスターT「女性は偉大だわ・・・。」
   何度も思うが、真女性は偉大だ。対して野郎は破壊と混沌をもたらす存在でしかない。先に
   触れた世界大戦の流れも、結局は愚かな野郎が引き起こしたもの。同性として恥ずかしいわ。

ミツキ「野郎は破壊と混沌をもたらす存在、ですか。」
ミスターT「あら、読まれちまったか。」
ナツミA「読むも何も、物凄い神妙な面持ちを見れば直感できます。しかし同時にマスターが何を
     抱き、そして突き進もうとしているのかも理解できますよ。」
    ものの見事に心中を看破してきたナツミツキ姉妹。また傍らにいるナツミYU・シューム・
   エリシェ・ラフィナも小さく頷いている。
エリシェ「マスターはそうして胸中に常に問い掛けをなされている。当時の方々が行った事を我が身
     に移し、贖罪として受け止められている。だからこそ先に進む起爆剤と化している。」
シューム「そうよ。君が言った、男は破壊と混沌しかもたらさない。そして女は創生と誕生と司る、
     とも。男の君には分かり辛いかも知れないけど、女は絶えず未来を見据え動いている。」
ナツミYU「貴方がそれだけ見定めているなら問題ないと思います。そしてさっき先輩も仰られて
      いました。私達には変革をもたらせる力を有していると。これらを駆使してでも、少し
      でもより良い世上作りに貢献できれば幸いです。」
ラフィナ「その生き様は、私達を中心とした大財閥にも通じる部分があります。眼前の悪口罵詈など
     捨て置き、今ではなく遥か未来を見据えて活動を繰り広げる。今を生きる方々に憎まれ
     ようが、未来の方々に感謝されるような存在になりたいもの。」
   それぞれの女傑が言葉を述べる。殆ど彼女達の胸中の決意でもあろう。かく言う俺も同じ強い
   思いを抱いているが。

シルフィア(それこそアレよ。誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。それが重要
      だと。)
    突然の恩師の言葉に驚いた。しかもそれが脳裏に聞こえるのだ。ヘッドセットは装備して
   いるが、そこから聞こえるものではない。
ミュティナ(あ、これですか。お渡ししたペンダントの能力ですよ。持たれる方の脳波に影響し、
      念話としての会話が可能という。)
ミスターT(・・・全部聞かれていた、という訳か。)
   俺のボヤキにニヤける周りの面々。これ、どうやら脳裏に思った事が伝わるようだ。というか
   このペンダントにその様な能力があるとは・・・。
ウエスト(俺は皆さんの様に賢くないから詳しい事は言えない。だが1つだけ言えるなら、マスター
     が概念の己が生き様を貫き続ける。これしかないよ。)
サイバー(ですよ。過去の業の贖罪は大切です。しかし姉さん方が言う、今よりも先を見つめよ。
     ここしかありません。)
ナッツ(過去の業に縛られ停滞するか、過去の業すらも糧として前に進むか。どちらが正しいか、
    頭の悪い俺でも痛感できますぜ。)
エンルイ(振り返りの原点回帰は大切なもの。それが済めば、後は簡単ですよ。我武者羅に前に突き
     進め、これに限ります。)
ミツキ(それに皆さんが言ってます。幸いにも私達にはそれらを成し遂げられる絶大な力がある。
    更にミュティ姉妹方のお力が加算されれば、この世上から悲惨の二文字・孤児の二文字を
    無くす事に近付ける。)
ナツミA(孤児を無くすの淵源も、元は悲惨という概念から発せられるもの。それらを無くしていく
     のが、強いては世上を安定させる何よりのものだと思いますよ。エリシェさん方が挑んで
     いる生き様が正にそれです。)
   ナツミツキ四天王とナツミツキ姉妹が胸中の思いを述べる。それは正に自分が思っている事と
   何ら変わりない。6人は1人の人間が分かれたような様なものであり、6人1組でなければ
   全く意味がないのだ。

エリシェ(6人方の胸中を伺って、私達の生き様が間違っていないと何度も思います。私達の力は
     あまりにも強大過ぎて、一部の勢力からは目の敵にされていますので。)
シルフィア(それこそ“だから何?”で蹴散らしなさい。そもそも、その連中が貴方達の様な生き様
      を刻んでいるのか。その本質を問い質せば黙りするわよ。批難中傷するだけで何もして
      ないのが実状だし。)
    脳裏に一同の会話が響く。現状は黙って任務をこなす様に見えるが、実際は現状の通信機器
   を超える代物で会話しているのが何とも言えない。
ミュティナ(皆様方は地球上での目線でしか捉えていないと思われます。しかし私達地球外生命体の
      目線からすれば、荒波の中を進む兄弟姉妹船そのもの。お兄様が言われた・・・あれ、
      何でしたっけ?)
ミスターT(ああ、異体同心だな。異なる己らだが、目的・目指すべき場所が同じ故に団結できる。
      逆に同体異心や同体同心・異体異心では何も成し得ない。)
ミュティナ(ですね。私達ギガンテス一族も異体同心を心懸けています。この広大な宇宙を流浪する
      からには、身内でのイザコザで諍いを起こすのは愚の骨頂。もっと大切な事があるのを
      知らねばなりませんから。)
   あの幼子たるミュティナが語る内容とは思えない。やはり10万年生きているだけはあるわ。
   だからこそ、彼らギガンテス一族は長い旅路を続けられるのだろうから。
ミュティヌ(アレですよ、ミツキ姉の生き様が世界を平和にする感じで。)
ミュティラ(“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”。正に我が意を得たり、そのものです。)
ミツキ(ウッシッシッ♪ この生き様に回帰すれば、後は敬い・労い・慈しみの精神でデコわぅ。)
ナツミA(デコレート、ね。まあ貴方の生き様が正に両方とも含まれるから、後は突き進むだけに
     なるけど。)
ミツキ(ウッヘッヘッヘッヘッ♪)
   外見上は座ってノホホンとしているが、念話では絶好調のミツキ。俺や周りは笑いを堪える
   のに必死である。ただ確実に言えるのは、ミツキのその生き様が今の世上の特効薬になるのは
   間違いない。多少強引過ぎるが、このぐらいがいいのだろう。

シルフィア(とまあ、道が定まってるなら簡単よね。上辺の右往左往、表からの悪口罵詈や横槍。
      そんな妨害要素では止められない概念だしね。)
ナツミA(今の世上ほど、己の生き様を問われる時はありません。それだけ殺伐としており、何かを
     求め彷徨う流浪の旅人そのものでも。)
ミツキ(茶菓子を追い求めるワンコ参上わぅ!)
シューム(ぶっ・・アッハッハッ!)
    この美丈夫はまあ・・・。最後のミツキの纏めで、堪えるのに必死だった笑いが爆発した。
   俺達はその場で大爆笑してしまう。それに近場にいた警備員の方々は驚愕している。
ナツミYU(何というかまあ・・・この生き様あれば怖れなし、ですよね。)
ミュティナ(私達も肖りたいものです。)
ミスターT(俺達なら、やってやれない事はないわな。)
   俺が自然と一服しだすと、釣られてナツミYUとシュームも一服しだした。任務中だという
   のに緊張感が無さ過ぎる。まあ逆を言えば、これが妨害者にとって特効薬になるのだろうな。

ウエスト(ちなみに艦隊コレクションという作品がありまして。)
ミスターT(あー、美少女が艦船化したものか。)
    ウエストが言うのは日本で有名な作品だ。多分アリゾナ記念館に赴いた流れで思い出したの
   だろう。同記念館には当時敵国だった日本の、しかもパール・ハーバーを奇襲した部隊の旗艦
   “空母赤城”の模型が展示されている。本当に凄い事だわ。
ナツミA(そう、マスターが思われたそれ。戦争の風化とか言われているけど、私からすればどんな
     形であれ知って貰う事の方が遥かに重要だと思うけどね。例え擬人化した場違いなもので
     あっても、その淵源がどんな出来事だったのかと回帰できるかどうか。)
シルフィア(そうよね。昔は連合艦隊や戦艦大和などの映画があったけど、今は特別でなければ放映
      される事がない。近くでは風立ちぬや永遠のゼロ、山本五十六さんのもあったね。)
ウエスト(戦争は絶対悪だ。しかし絶対悪に位置付けるには、過去に起きたそれらを語り継がねば
     意味がない。ナツミA嬢が言った、擬人化による戦争描写が不謹慎うんたらかんたら。
     そんな事ではなく、今の世界の流れでどう表現して語り継ぐか。)
ミスターT(戦後生まれの自分からすれば、何を語っているのだと言われかねない。しかし、戦後
      生まれだからこそ語らねばならないのもある。それがどんな形であれ、だ。その要素が
      あるだけ素晴らしい事だと思う。強いては平和だからこそ、バトルガールが誕生できた
      訳だからな。)
   一服しながら思う。過去の歴史は確かに重要である。しかし今を生きる自分にとっては、明日
   を勝ち取らねば意味がない。幸いにも警護者という絶大な力がある。これらを駆使してでも、
   少しでも世上から悲惨や孤児の二文字を無くせるなら何だって行ってやる。

シルフィア(・・・T君のその思い、確かに受け取ったわ。ならば師匠として、貴方達に降り掛かる
      火の粉を全部払い除けていくから。青髪の鬼神を見縊るな、とね。)
ウエスト(汚れ役なら一緒に担っていくよ。こう見えても実力主義なので。それなりに力はある。)
ナツミA(そうね、力があるなら使ってこそ。その布石になる戦いなら、一切の私情は不要。後は
     前に進むのみ。)
    意思の疎通・念話により、彼らの痛烈な決意が伝わってくる。これは警護者に至った俺達
   総意の決意に等しい。だからこそ起爆剤として前に進めるのだ。
シルフィア(まあ、更に根底に“敬い・労い・慈しみ”の精神が必要不可欠だけどね。)
ミツキ(そうですね。そこの起爆剤に私が役立てるなら、今後も無双を演じますよ。)
ナツミA(演じるというか、素体でしょうに。)
ミツキ(グッヘッヘッヘッヘッ♪)
   最後はまあ、この3人に締められた。相変わらずのミツキ節で不覚にも爆笑してしまう。この
   美丈夫の理があれば、後は前に進むのみだわ。

    マンガ・アニメで原点回帰か、不思議なものである。しかしそれで先に進めるのなら、本当
   に素晴らしい事だ。これらの作品を創生してくれた作者の方々に、心から感謝したい・・・。

    中半へと続く。

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