アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第11話 海への対策3〜
ミツキ(ぬぅーん、デュヴィジェちゃんとヘシュナちゃんの感動一念に、スミエちゃんの回答で迷走
    し始めたわぅ。)
スミエ(ハハッ、申し訳ありません。)
ミツキ(ふふり。でも、その出来事があったからこそ今がある。イザリアさんを励まされた事も、
    全て昔があったからこそでしょうし。)
ミツキT(生きる事とは、死ぬ事よりも難しい、と。)
ミスターT(ああ、お前さんの生前の名言だったな。)
    落ち着いたイザリアを解放し、一服をしながら呟いた。ミツキTのその名言を当てはめるの
   なら、イザリアは相当な過酷な中を生きてきたと言い切れる。
ヘシュナ(私達も、それ相応の長い年月を生きてきました。ですが、イザリア様の生き様は、筆舌し
     尽くし難いものだったと思います。三姉妹のみで、この過酷な環境を開拓されていった。
     私は貴方を魔王ではなく聖王だと確信しています。)
イザリア(よ・・止して下さい・・・聖王だなんて、恐れ多い事この上なしです・・・。)
   エラい畏まりだす彼女。イザリアの気質からして、聖王よりは魔王の方が性分に合うだろう。
   しかし、実質的に異世界惑星を育て上げたという意味合いからして、聖王の方が正しいか。
ミツキ(ぬぅーん! スターバーストは七星剣わぅ!)
ラフィナ(ん? 魔王の斧でも良いのでは?)
エリシェ(そこは魔王の盾を使いトリプルマデュースで。)
サラ(王家の指輪で荒稼ぎもあるで!)
セラ(聖王の槍で歌うのです!)
ミツキ(ほげぇ〜♪)
   ・・・この美丈夫達は・・・。魔王と聖王の繋がりからか、某ゲームの内容を語っていく。
   それを窺った他の面々は、そのボケに釣られて爆笑していた。ミツキの手腕には、本当に感嘆
   せざろう得ないわ・・・。

    念話を通して、総意の思いが伝わってくる。念話は、時間や空間を超越する、最強無比の
   コミュニケーションツールそのものだ。まあ、外面は無言でいる俺達が、内面では和気藹々と
   雑談している様は異様ではあるが・・・。

    それでも、こうしたやり取りを経て、お互いを知っていける事ができる。念話の能力を持つ
   5大宇宙種族には、本当に感謝してもし切れないわな。



    荷馬車に揺られる事、数時間。大都会から北上しても、数時間の距離とされる造船都市。
   商業都市からは更に時間が掛かり、約半日近く掛かってしまった。幸いにも夜中に行動を開始
   したので、朝方には現地に到着する事ができた。

    造船都市アルドディーレ。ここは工業都市とは異なり、大都会の庇護を受けず独立で運営を
   しているとの事。それを象徴するかの様に、外壁はデハラード以上の重厚感を放っている。
   更に、北側が海に面しているため、海洋国家的な姿を醸し出している。象徴的なのが、帆船型
   の軍艦だ。

    ただ、シュリーベル・カルーティアス・デハラード・リューヴィスとは、陸地で面している
   ためか、この帆船軍艦を保持する意味合いは別にあると思われる。そう、ここより北方に存在
   する、魔大陸への抑止力だろうな。

    まあ、魔王イザリア自身が本来の善心に回帰したため、魔大陸は普通の大陸と言っていい。
   魔王を仲間に、か。こちらの方がチート過ぎるわな・・・。

ミツキ(クロト・・・むぐっ?!)
ミスターT(はぁ・・・出ると思った。)
ラフィナ(見事ですよねぇ。)
    早速、ネタを飛ばしてくるミツキ。直ぐにナツミAに口を塞がれている。こちらの一挙手
   一投足全てに反応しているかのようだ。
オルドラ(ハハッ、本当に賑やかで良い感じだわ。)
エリシェ(何時もの事なので、呆れを通り越しますけどね。)
オルドラ(まあそう言いなさんな。ミツキ嬢が言ってたが、笑顔でいるから幸せになれる、だな。
     それを何度も実践してくれている、感謝に堪えんよ。)
ラフィナ(フフッ、本当にそう思います。)
   オルドラの言葉から、この異世界には心から笑える時がなかったと思える。まあこれは、俺の
   価値観内の解釈なので、実際にはそれ相応の笑顔を持つ方々はいるとは思う。
エメリナ(しかし・・・何か物々しいですよね。何かに対して警戒しているような。)
ミスターT(イザリアさんがいる手前、通常大陸からの波動は皆無だと思う。となれば、それ以外の
      脅威に対してだろうな。)
ミツキ(怖がる〜酒を飲み干せ〜♪)
   直感的なのだろう、俺が思った事を見事にネタで代弁してくれたミツキ。それに周りの面々は
   呆れながら溜め息を付いている。しかし、その直感が見事に的中する事になろうとは・・・。

    荷馬車を壁門の近くに止めて、街内に入ろうとした瞬間、辺りが騒がしくなりだした。門番
   の衛兵に尋ねると、何と海賊の襲撃があったらしい。それを窺い知って、一同してミツキの
   方に一念を向ける。その感じを知った彼女は、呆れ顔ながらもニヤケていた。

    非常事態という事で、共闘を買って出る。その事を門番に伝えると、遊撃で動く事を提示
   してくれた。ただ、冒険者という位置付けから、自身に降り掛かった災難は自己責任になると
   付け加えられたが。


ヘシュナ(どうされます? 増援をお送りしますか?)
ミスターT(いや・・・大丈夫そうだよ。それに・・・。)
    彼女の共闘提示を保留し街中を見入る。そこには、数多くの軍団が疾走していた。どうやら
   港の方に向かっている様子だ。
ミスターT(・・・なるほど、メカドッグ嬢達の情報から、取り越し苦労に終わりそうだ。)
デュヴィジェ(あらら。)
   メカドッグ嬢達の情報を念話経由で窺い、その様相を知って納得している一同。そう、本当に
   納得していた。

    疾走していた軍団は、相当な手練れである事。港にはボウガンやバリスタなどの遠距離攻撃
   ができる兵装が備わっている事。そして、迎撃に出ている面々は、海賊慣れをしている事だ。
   先程俺が慌てた理由は、海賊の襲撃が初めてだったと思ったからである。

フューリス(うーん・・・不発に終わった感じでしょうか。)
テューシャ(暴れられると思ったのですけど。)
ミスターT(不要な戦いは避けるに限る、これも警護者の基本概念よ。)
    2人は戦いたかったそうだが、不要な戦いはしないに限る。俺達警護者が牙を向くのは、
   守るべき存在に脅威が迫った時だけだ。好戦者になれば、殺人鬼に至る恐れも十分ある。
ミツキT(ですが、他にも襲撃者がいる恐れもあります。メカドッグ嬢達を飛行モードにして、周辺
     の警戒に当たって貰いますね。)
ミスターT(ああ、頼むわ。)
ミツキ(長時間グライダースパイクわぅ!)
ミスターT(はぁ・・・。)
   ネタを炸裂するミツキに溜め息を付きつつも、メカドッグ嬢達に周辺の警戒を一任した。何故
   飛行モードとしたのかは、ここより北側が海であるからだ。空を飛んだ方が良いだろう。

    ちなみに、メカドッグ嬢達の基本筐体は、通常は犬である。しかし、飛行モードになると、
   背中から翼が出て飛ぶ事ができた。小型ジェットエンジンも搭載しており、小さいながらも
   速度は最高でマッハ2ぐらいは出る。更にこの筐体、俺達の背中にドッキングも可能だ。

    つまり、彼女達を背中に背負った状態になると、筐体の恩恵により空を飛ぶ事ができる。
   ただし、結構な重力が掛かるため、余りお勧めしない戦術ではあるが・・・。

ミスターT(飛ぶのと泳ぐのだけは勘弁だが・・・。)
ミツキ(出たわぅ! Tちゃんの苦手な2つの要因わぅ!)
エメリナ(空と水が苦手なのですか・・・。)
    意外な苦手要素に呆気に取られている妹達。それを窺った身内は小さく笑っている。これら
   苦手要素は、今となっては俺の特効に近い。
ミツキ(更にもう1つは、女性が苦手わぅ。)
メラエア(え・・ええっ?!)
ルマリネ(そんなまさか・・・リューヴィスの様相を見る限り、完全に一体化していましたよ?)
シルフィア(実際の所、彼はかなりの奥手よ。と言うか、男女問わず、対人が苦手なんだけどね。)
   更に意外な弱点を知り、妹達は絶句しだしている。身内はこれを知っているため、毎度の事
   だと呆れるに留まっている。
ミスターT(・・・正直な所、1人でいる方が気が楽よ。)
ミツキT(それ、完全にボッチですよね。)
ミツキ(ダンナ〜、儲かりまっかぁ?)
ミツキT(ボ・・ボチボチでんなぁ。)
ミツキ(ウッシッシッ♪)
   はぁ・・・この美丈夫は何でもネタに発展しよる・・・。しかし、非常に強いクリティカル性
   を孕んでいるため、笑わないようにしても笑ってしまうのは見事だが・・・。

    後半2へと続く。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

戻る