アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第8話 魔王と愚者と2〜
ミツキT(・・・動きがありました!)
ミスターT(やっと出たか・・・。)
    相手が動きだすのを待つ間、念話による雑談を繰り広げる。妹達もすっかり巻き込まれて
   いるのが見事である。そんな中、大都会を巡回中のミツキTから連絡が入った。

    彼女からの念話による様相が、その目からの情報を映像として投射する事も可能である。
   ミツキTが見た現状が脳裏に広がっていく。そこには、忽然と姿を現した黒ローブ達だ。先の
   シュリーベル事変で出てきた奴に似ている。

    そして、今度はゾンビやスケルトンといった、不死の魔物が現れる。どうやら、以前俺が
   話した事が反映されているようだ。皮肉な話である。更には、王城の門が開き、ならず者や
   傭兵が現れるではないか。

ミスターT(はぁ・・・。)
ヘシュナ(ええ、人類が嫌いになりますよね・・・。)
エリシェ(大いに同意します・・・。)
    予測した通りの展開になる現状に、とにかく呆れ返るしかない。遠方のヘシュナとエリシェ
   も同じ気持ちに至っているようだ。悪党の考える事は、何処も同じである証拠となった。
ミスターT(まあ何だ・・・今はお勤めをするとしますか。)
エメリナ(了解! 近付き過ぎず、離れ過ぎずで抗戦します!)
ネルビア(お任せを!)
   颯爽と動きだす妹達。既に近場にまで展開していたようで、確実に被害が及びそうな場合には
   攻撃に転じるようである。口には出さないが、ウインドとダークHもやる気満々である。
ミスターT(念のため、エリシェさんとヘシュナさんを寄越してくれ。ラフィナさんとナセリスさん
      は街の防衛を。)
ラフィナ(了解です。)
ナセリス(お任せをば。)
   現状だと、カルーティアスが主戦場となるだろう。しかも、住人が居る街中だ。避難誘導を
   行う事も優先しないといけない。エリシェとヘシュナには、避難誘導に回って貰うとする。
   既に念話で様相は伝わっているから問題ない。

ミツキ(スタンバってますぜぃ!)
ナツミA(危ない場合は直ぐに召喚を。)
ミスターT(ああ、何時でも飛べるように準備しておいてくれ。)
デュヴィジェ(了解。)
    地球にも増援待機の念話を入れる。次の飛来者はミツキとナツミA、そしてシルフィアに
   なるだろう。デュヴィジェは司令塔になって貰っているため、来たくても来れないらしい。
ミスターT(・・・俺も動くか。)
ヘシュナ(思われた通り、街中の避難誘導は全てお任せを。マスターは皆様方の後方支援に。)
エリシェ(貴方がいれば大丈夫ですよ。)
ミスターT(フッ、ご期待に添えられるよう尽力致します。)
   執事的な言動をすると、ニヤケ顔で頷く一同が感じられる。どんな状況であろうが、この余裕
   を持つ事が必勝条件だろうな。ただ、持ち過ぎると油断になりかねないが。

    空間倉庫よりマデュース改3挺を取り出し、それぞれの腕に装備。待機中だった酒場の屋上
   から、真下の地面へと飛び降りた。だが・・・高所恐怖症の手前、その瞬間は激痛とも思える
   苦痛に苛まれる・・・。しかし、今は私的考えは論外だ・・・。

    本来なら、トリプルマデュースシールドの総重量は1トンを超えている。しかし、重力制御
   ペンダントの効果により相殺されており、サブマシンガン程度の重さでしかない。更に、高所
   からの飛び降りと着地時にも、同効果が発揮される。

    恐怖に襲われつつも、屋上から地上へと問題なく着地し、そのまま最前線へと向かった。
   既に各軍団により避難誘導が開始されている中を突き進む。



カネッド「この場合の特別手当って出るんっすかね。」
ファイサ「出ないでしょ。」
ルマリネ「タダ働きも良い所ですよ。」
    最前線へと到着すると、既に大暴れ中の妹達。暢気に戦闘後の報酬の話をしていた。そんな
   彼女達を警護するウインドとダークH。リボルバー拳銃の2丁拳銃スタイルは、今では凄腕の
   ガンマンとして知られている。
ウインド「マスターもいらっしゃったのですか。」
ミスターT「親玉の顔を拝みたくてな。」
ダークH「今はまだ、それらしいのは出て来ていませんね。」
   肉薄するゾンビやスケルトンを、トリプルマデュースシールドで押し退ける。そこに2人の
   護身武器、携帯撃剣で反撃をしだした。こちらも、某ゲームの獲物の1つである。
アーシスト「相変わらずタンクですよね。」
ミスターT「タンク・・・戦車の意味じゃないのか?」
フューリス「防御戦士の意味合いですよ。仲間に向けられる攻撃を盾で防ぐと。」
ミスターT「なるほど。」
   俺のトリプルマデュースシールドの様相は、どうやらタンクこと防御戦士の意味合いに取れる
   らしい。確かデュヴィジェ達が見ていたマンガにも、タンクが主人公の作品があったわ。

    しかし、同作の主人公は大盾1つだけの守備だが、俺の場合は3つの大盾での守備となる。
   脳波により、自動行動が可能な人工腕部が後押しをしており、そこに装備のマデュース改は
   尋常じゃない制度の防御率を誇っている。

    両腕のマデュース改は、近場の女性陣を守る側に用いている。攻撃を受け止める際、その
   大盾の内側に隠れ、やり過ごした後に反撃に出る形だ。ゴブリン達との戦いでも、同じ戦術を
   展開している。

    警護者の走り立ての頃は、拳銃や日本刀による戦いだったが、今ではこのマデュース改の
   スタイルが常となっている。腰の携帯方天戟や、隠し武器の携帯十字戟の出番は希となる。
   それでも、どんなスタイルだろうが、総意を守れるなら安いものだ。


    不意に放たれる魔法の数々、炎の魔法と雷の魔法だろう。それらが俺達を襲うも、バリアと
   シールドの防御機構により無傷だ。そこに現れるは黒ローブ、今度は複数のご登場となる。

黒ローブ1「貴様が同胞が言っていた、仮面の魔物か。」
ウインド「仮面の魔物・・・それ頂きですねぇ。」
ダークH「ほむ・・・差詰め、マスク・ザ・モンスターでしょうか。」
ミスターT「何とも。」
    優勢に見せようと気張る黒ローブ共。俺の事を仮面の魔物と述べてきた。すると、ウインド
   とダークHが茶化しを入れる。それに不甲斐無い感じで笑ってしまった。妹達も笑っている。
   その余裕は何処から出るのかと、呆れる黒ローブ共である。
ミスターT「それで、今度は大都会を潰しに掛かった訳だな。」
黒ローブ2「心外だな。我々は秩序ある世の中を作ろうとしているのだ。」
黒ローブ3「今回の行動は、その布石への第一歩なのだよ。」
ミスターT「へぇ・・・。」
   考える事は何時も同じなのだと、ウインドとダークHと共に呆れ返る。地球では、軍服連中や
   黒服連中が同じ考えだった。ここ異世界惑星では、黒ローブ連中がそれに当たる。
ミスターT「悪いが、俺達がいる限り、お前さん達の野望は達成不可能だがな。」
黒ローブ1「フッ・・・心配には及ばぬ、既に手は打ってある。」
   そう言うと、連中の後方から現れる複数の面々。その様相を見て、そう来たかと呆れ返った。

    ワラワラとならず者や傭兵が現れる中に、7人のその姿があった。一時姿を消していた、
   偽勇者共だ。以前よりも力強さが増しており、禍々しい武器や防具を身に着けている。

    そして、連中を見た妹達は、激昂ではなく冷めた表情で見入っている。以前は激昂の表情
   だったが、成長したものだわ。

偽勇者「戻って来ていたようだな。既に死んだものだと思っていたが。」
ミスターT「お前さん達と同じでね、獲物の調整をしていた。まあ、その姿からして、人外になった
      のは間違いないらしいが。」
偽勇者「よくぞまあ吠えやがる。この姿、この力こそが全てだ。貴様等には分からんだろうがな。」
ミスターT「なるほどねぇ・・・。」
    何処で手に入れたかは不明だが、連中の武器防具は相当な逸品らしい。しかし、その禍々
   しさからして、人間が作ったものではないのは確かだ。
偽勇者「それに、こちらには切り札もある。おい、奴を出せ。」
黒ローブ1「はっ、かしこまりました。」
   不気味に語る偽勇者に、ニヤケ顔で応じる黒ローブ。この姿も人間ではないわ。

    合図により、後方から現れる漆黒のローブ姿の人物。その様相はもはや、人間ではないのは
   言うまでもない。それに、それが誰かが漸く分かった。

偽勇者「これが我々の切り札・・・。」
ミスターT「ほむ・・・噂の魔王カースデビルさんか。」
    自慢気に語り出そうとした所を、態とらしく一服しながら内容を代弁した。ちなみに、両腕
   はマデュース改で塞がっていたため、それを察したウインドとダークHが煙草を用意し、着火
   までしてくれた。相手への見せ付けたる演出の1つだ。
カースデビル「我が名はカースデビル・・・漆黒より現れし混沌の覇者・・・。」
エメリナ&フューリス&テューシャ「・・・・・。」
   偉大な王の如く語るカースデビルの前口上に、黙り込むエメリナ・フューリス・テューシャ。
   それは恐怖心からのものではなく、“彼女より圧倒的に弱い”と思った呆れによる黙りだ。
   それに我慢できず、苦笑してしまった。
ミスターT「・・・つまり何だ、王城側は愚物総意と結託し、世界征服に乗り出した訳か。」
黒ローブ1「世界征服ではない。この世界に、我々が新たな秩序をもたらすのだ。」
ヘシュナ「どちらも全く同じ愚行ですけどね。」
   傲岸不遜の語り部に、怒り心頭の雰囲気で現れるヘシュナ。どうやら避難誘導はミツキTに
   任せて、エリシェと共にこちらに来たようである。

偽勇者「貴様、何者だ?」
ヘシュナ「愚物に語る名などありません。」
エリシェ「マスター、今直ぐにでも自己嫌悪に陥っても良いですよ。」
ミスターT「はぁ・・・。」
    怒りの表情のヘシュナとは対照的に、ニコニコしながら語るエリシェ。しかし、内情は傍ら
   のヘシュナ以上に怒りを抱いているのが痛感できた。
偽勇者「何人現れようが、我々の敵ではない。こちらには、カースデビル様がいる。愚かな人間共を
    屈服させるには十分だ。」
エメリナ「そこまで言い出すのか・・・。」
   もはや手駒の見せ付け合いに発展しているこの場。と言うか、手下のゾンビやスケルトンは、
   親玉の会話に行動できずにいる。本来なら暴れたいようなのだが、実に哀れである・・・。
ミスターT「どうしようもないなこりゃ・・・。まあ何だ・・・今も見ているなら、そろそろ出て
      来ても良いぞ。」
   右手のマデュース改を地面に突き刺し、その手を目の前に掲げて見せた。

    右手の前に、魔法陣が出現しだす。それに驚愕し距離を置く愚物軍団。その魔法陣を見た
   エメリナ達は、怖がる所か嬉しがっているのが何とも言えない。

    そこに現れるは、禍々しいローブを羽織るも、顔はしっかり露わにしている人物。正真正銘
   の魔王である。そして、改めて感じた生命の波動により、彼女が宇宙種族だと直感できた。

    後半へと続く。

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