アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝9
〜覆面の苦労人〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜
    〜第1部・第5話 修行と武具作成 ティルネアの視点〜
    〜ティルネアの視点〜

    彼を召喚できたのは、本当に幸運だったとしか言い様がありません・・・。


    過去に遂行者を担った人物は、最初は世界を救うのだとか意気揚々と活動していました。
   しかし、マイナス面の力を感じ取った瞬間、直ぐに怖じる者が続出してもいます。

    生命体から発せられる、負の感情の塊。特に一番響いてくるのが、怒りと憎しみでしょう。
   理不尽・不条理な対応をされた方々の、痛烈なまでの一念。それらを感じ取ると、とても正気
   を保つのは厳しいのだと。


    創生者を担いだした頃の私は、その重々しさに押し潰されそうになりました。年数を重ねて
   今の肝っ玉に至りましたが、初心の遂行者であれば耐えられないでしょう。それを承知の上で
   願い出る私も、ある意味異常者としか言い様がありませんが・・・。

    遂行者は、創生者の劣化版とも言うべき存在。託した力は、私の力に何ら引けを取らない。
   それらの力に溺れ、私利私欲に走る存在もいる。片や先に挙げた通り、マイナス面の力を目の
   当たりにして、遂行者の道を断念する存在も。

    中には、遂行者の道を貫こうとする存在もいました。その方々に共通するのは、利他の一念
   です。自身よりも、周りを救うのだという崇高な一念。それでも、抱くのは可能でも、実行
   するのは非常に難しい。

    結局の所、今までに遂行者を達成した者は、指を折るぐらいしかいません。これが現実だと
   思い知らされます。


    前にも挙げましたが、本来なら私が動くべきなのです。しかし実際は、余りにも力を持ち
   過ぎているため、過剰な加担により破滅へに導いてしまう。パワーバランスを保つためには、
   私以外の遂行者に任せなければならない。

    本当に、私は嫌な存在としか言えません・・・。他者の人生を奪うようなものです・・・。
   それでも、遂行者代理を出さねばならない。今は、それしかできないのですから・・・。


    今も雑用に明け暮れる、ミスターT様。知れば知るほど、彼がお節介焼きの世話焼きだと
   痛感させられます。そして、持ちつ持たれつ投げ飛ばす、という気概を貫いている。

    私に匹敵する力を持ちながら、それに決して溺れる事も傲れる事もない。ただ、中道を突き
   進んでいる。これが、どれ程のものなのか、実際に演じてきた私だからこそ痛感しています。


    地球での警護者という存在は・・・、それ程までに己を律する存在なのでしょうか・・・。
   同時に、彼が語る身内の7人の存在も・・・。

    逸脱した力と一念を持つ彼をしても、その7人は凄まじいと豪語されていらっしゃいます。
   そんな7人ではなく、彼を召喚できた理由は、一体何であったのか・・・。


    創生者たる存在は、中道を進まねばならない・・・。しかし・・・今は、遂行者代理たる
   彼の事しか考えられません・・・。

    何よりも、常々の私への気遣いには感謝するしかありません・・・。益々、ミスターT様に
   興味が湧いてきます・・・。

    今後も、遂行者代理の彼を監視しつつ、その傍らに居られる事に感謝します・・・。

    〜ティルネアの視点、終了〜

    第6話へ続く。

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