アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝9
〜覆面の苦労人〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜
    〜第1部・第06話 聖獣と神獣と魔獣と4〜
ティルネア(念話で話せるとなれば、隠し事的な内容は必要ないでしょうね。)
ミスターT(確かにそうだな。)

    街の噴水近くのベンチに座り、ノホホンとしている。いや、ノホホンとした雰囲気で、念話
   をしていると言うのが実状だ。そうでもしなければ、独り言を言っている様に見えてしまう。

    ただ、言わばティルネアのお墨付きを貰えるなら、今後は非常に行動がし易い。どんなに
   距離が離れていようが会話ができるのだ。これ程有利なコミュニケーション法はない。

リドネイ(・・・そうして平然とお話されている自体、物凄い事なのですがね・・・。)
ミスターT(んー、遂行者の特権?)
ティルネア(ですねぇ。)
ナーシャ(そ・・そうですか・・・。)

    創生者ティルネアと平然と対話をしている俺を見て、呆然としているリドネイとナーシャ。
   リドネイは何度か窺ってはいるが、ナーシャの初対面の言動を再度窺い痛感したようである。

    確かに2人の言う通り、非常に呆れるしかない。そもそも、精神体が付与的な憑依をして
   いる自体異常だ。そして、その精神体が創生者ティルネアである。驚愕は無論、呆れるのも
   肯ける。

    特にダークエルフ族やエルフ族は、こういった神秘的な存在を神と思う部分があると言う。
   ティルネア自身は嫌っている概念だが、ベイヌディートに住まう人物からは神と崇められて
   いるのが実状だ。こればかりは致し方がない。

    そんな彼女が目の前にいるのだから、驚愕も呆れもあっても良いと思う。俺でさえ、彼女達
   の思う部分は痛感しているのだから。


ミスターT(ともあれ、聖獣・神獣・魔獣に関してだが、探すと言ってもな・・・。)
ナーシャ(お3方は、人に変化する能力があるので、街などに紛れ込んでいると思います。)
ミスターT(世上に憧れを示す、か。)

    高貴なる獣とは、それだけ知能が高い証拠だ。普通の獣であれば、弱肉強食の理を主軸と
   した生き方をする。そこに知能が合わされば、別の生き方を考えだすのは言うまでもない。
   ナーシャが挙げた通りとすれば、世上の社会に興味を惹かれたのだろう。

    これは、更に高貴な獣たる竜にも当てはまるらしい。地球人の俺からすれば、竜などは空想
   の産物でしかない。しかし、この異世界ベイヌディートには普通に存在しているのだ。

    となれば、先のナーシャの事例も当てはまる。竜族も人型に姿を変えて、世上に紛れ込んで
   いると思われる。となれば、下手な事はできなくなる。

ミスターT(・・・俺は、お前さん達に対して、烏滸がましい行為をしているかも知れないわな。)
ティルネア(ご冗談を。貴方様ほど、周りへの気配りをしている方がいらっしゃいますかね?)
リドネイ(その通りですよ。思われた一念は、言わば不配慮的な言動でしょう。それらは、対話に
     必要な取り回しとも言えますし。)
ナーシャ(ですね。それに私達は、相手の心中を敏感に察する事もできますので。)
ティルネア(貴方様が相手を思い、色々な行動を実践されている。それが全てですよ。)
ミスターT(そうか・・・。)

    3人の言葉に、深く頭を下げた。ふと思った一念に対して、今までの言動を全て踏まえて
   くれた。行動が全てである、と。特に、精神面では強者に至る3人だ。その彼女達からの、
   言わばお墨付きである。


    この場合は、相手を見下した言動に至るかどうか、という意味合いだ。上辺は誠実な対応を
   していても、心中は見下した一念を抱いているかも知れない。ここを俺が懸念したためだ。

    だが、見てくれる者はしっかりと見てくれている。ティルネアもリドネイもナーシャも、
   こちらの一念や生き様を見てくれていた。ナーシャに限っては、出逢ってまだ数十分である。
   その彼女が見切ってくれているのだ、心から感謝するしかない。

    もし俺が、地球で警護者としての生き様を貫いていなかったら・・・。一体、どの様な言動
   を取っていたのかと思うと、本当にゾッとしてしまう・・・。

    逆に、苦難の連続だった警護者の生き様が、どれだけ有難いものだったか。それを改めて
   思い知らされるしかない。俺の生き様は、決して無駄ではなかった証拠だ。


ナーシャ(フフッ、貴方は何処までも誠実なのですね。)
リドネイ(お節介焼きの世話焼きですからね。)
ティルネア(本当にそう思います。)
ミスターT(まあな・・・。)

    3人の言葉を聞きつつ、徐に一服をする。自然と繰り出していた生き方が、彼女達にお墨
   付きを貰うまでのものになっていた。

    地球でも同じ事を言われたものだが、長い年月を生きている3人だからこそ、その言葉に
   重みが増してくる。地球では年輩者の方々からの言葉になるが、その数倍や数十倍の人生を
   歩んでいるのだから。

ミスターT(まあ何だ、今後も我が道を進む、だな。)
ティルネア(ええ、大いに期待しています。貴方様なら、世上のマイナス面の力を取り除けると確信
      しています。)
ミスターT(可能な限り、暴れてみせるわ。)

    俺の両肩にソッと手が置かれる。ティルネアによる優しい厚意だ。その姿を窺い、同じく
   優しい表情を浮かべるリドネイとナーシャ。

    何度も思うが、人は1人では生きていけない。それは、創生者やダークエルフ族やエルフ族
   でも全く同じである。こうして、持ちつ持たれつ投げ飛ばすの間柄になれるのは、本当に光栄
   な事である。


    ともあれ、ナーシャの願い事は聖獣と神獣と魔獣を探しだし、保護するという事となる。

    世上に興味を抱いているようなので、人々が集まる場所を探すべきだろう。流石に何処に
   いるかは不明だが、確率の方は高いと思われる。そのため、長い目で時間を掛けて挑むしか
   ない。

    これに関しては、ナーシャの方も心得ているようで、今直ぐに解決できる問題ではないと
   思っているようだ。つまり、今後も彼女と行動を共にする事が必須となる。

    後半へと続く。

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