アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝9 〜覆面の苦労人〜 |
アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜 〜第1部・第06話 聖獣と神獣と魔獣と5〜 散歩と言う名の雑談を終えて、冒険者ギルドへと戻る。相変わらず、カウンターに並んで いる冒険者達を見て、苦笑いを浮かべるしかない。訓練場でのテスト試合こと修行が、彼らに 相当なインパクトを与えたようだ。 俺としては、実戦としての行動の方が遥かにマシだと思われる。幾ら修行を繰り返しても、 それは所詮修行であり実戦ではない。実戦こそ、己の力量を高める最大の環境なのだからな。 特にこの異世界事情は、非常に殺伐としている。そこらかしこに死が漂っており、油断を すれば倒されるのは言うまでもない。ブラックハウンドなどの乱入者の一件がそれだ。 この場合だと、恐らく彼らの本当の思いは、安心して戦える環境を欲しているのだろう。 それを模索していた所、俺達のテスト試合を見て感化されたのだと思われる。 地球での警護者の活動でも、任務がない場合はテスト試合を繰り返している。今もその流れ は一切変わらず、暇があれば訓練あるのみだ。当然、その試合は実戦さながらの戦いである。 警護者と冒険者を比較するのは、ある意味烏滸がましいかも知れない。だが、両者とも自身 の生命を賭して活動する点では全く同じだ。常に死と隣り合わせとなるのだから。 となると、今の異世界には闘技場みたいな場が必要かも知れないな・・・。 テネット「闘技場、ですか・・・。」 ギルド内部に戻ると、修行を終えて休息中のテネットを発見。今し方、思った事を彼女に 伝えてみた。彼女自身も冒険者に返り咲いた事により、修行の環境が多いのは良いと思って いると言う。 しかし、それは冒険者の範囲内であり、剣闘士の様な闘技場を専門とする存在ではない。 冒険者達が修行を望んでいるのは、闘技場で戦う類のものではない現れであろう。 テネット「王国や帝国には闘技場があります。ただ・・・。」 ミスターT「初心者お断り的な感じ、か。」 俺の先読みに表情を曇らせる。彼女自身は、闘技場を利用した事はないようだ。だが、その 機構に関しては把握しているようである。伊達に冒険者ギルドの、副ギルドマスターを大任 しているだけある。 テネット「闘技場は専ら、貴族や王族が嗜む場が多いのですので。」 ミスターT「はぁ・・・ボンボン共の溜まり場という訳か。」 皮肉を込めて語ると、苦笑いを浮かべる彼女。テネット自身も、闘技場の機構に関して色々 と思う所があるようだ。先の試合を見る限り、あそこまで戦いを好んでいるのだから、無理も ないだろう。 確かに闘技場の機構は、地球のヨーロッパでもそうだったが、特権階級が支配する娯楽施設 の色が濃い。一般観戦も行えるが、参加となると剣闘士などの特殊な職業が必要らしい。 それに、勝者が敗者の生殺与奪権を持つため、負ければ死ぬ確率が非常に高い。となれば、 一般向けされる事は希だろう。一部の戦闘狂や、それらを見学したい変人には打って付けだと 思われるが。 テネット「ところで、こちらのお嬢様は?」 ナーシャ「初めまして、ナーシャと申します。」 色々と思索していると、テネットが声を挙げてくるる。それは、初対面となるナーシャを 見てのものだ。流石に人慣れしているのか、直ぐに会釈をしだす。 そう言えば、ナーシャもリドネイも人見知りではないと言っていた。ただ、種族特有の寡黙 的な雰囲気から、人見知りだと勘違いされるらしい。言わば見事な偏見である。 まあ、ここまで美形揃いなのだ、要らぬヤッカミがあっても仕方がない。それだけ、超絶的 な美貌の持ち主なのだから。 ちなみに、テネットにもナーシャの目的を語った。それに驚くものの、“そういった情報” が入っているようで、一旦カウンターの奥へと姿を消していった。 テネット「お待たせしました。えーと・・・。」 酒場の一角の椅子に座る事、数分後。テネットが複数の資料を持って戻ってきた。先程まで の冒険者の雰囲気はなく、今はギルド職員の雰囲気を放っている。 ここまで多岐多様な知識や経験を持つ彼女なら、それなりの情報を得ていると思われる。 彼女と知り合えて本当に幸運だわ。 テネット「今までの目撃情報を踏まえると、過去に数度遭遇しているようです。」 そう言いつつ、内容が記載された資料を見せてくる。目撃した冒険者の口述を元に、記載 したもののようだ。簡単な地図まで記述されている。 テネット「ただ・・・ブラックハウンドを魔獣と見間違えている場合もあり、信憑性は定かではない のが実状ですが・・・。」 ナーシャ「ブラックハウンドも、魔獣の下位種族ですので。もしかしたら、その近辺に魔獣自体が いるかも知れません。」 ミスターT「近辺、か・・・。」 リドネイが用意してくれたコーヒーを啜り、2人の対話に耳を傾ける。ブラックハウンド との遭遇場所は、ウェイス達の昇格試験のあの場だ。その近くに魔獣がいるかも知れない。 ただ、魔獣とは言うものの、その種類は聖獣や神獣よりも数が多いらしい。その中の親玉的 な存在が、聖獣や神獣に肩を並べられるだけの実力を持っているとの事だ。 それに、ブラックハウンドみたいに獰猛な魔物ではなく、知能ある高貴な獣でもある。仮に 遭遇したとしても、こちらをしっかりと見定めてくると思われる。 後半2へと続く。 |
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