アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝9
〜覆面の苦労人〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜
    〜第1部・第06話 聖獣と神獣と魔獣と6〜
テネット「流石に討伐依頼は出ていません。ですが、3種の獣は希少種でもあるため、その価値性を
     狙った貴族や王族が狙っている場合も。」
ミスターT「はぁ・・・カス共が・・・。」
リドネイ「まあまあ、そう仰らずに。」

    テネットの言葉に、痛烈なボヤきを入れた。何時の時代でも、金持ちや権力者の考え方は
   非常に愚策そのものだ。心から苛立ちを覚えずにはいられない。そんな俺を嗜めるリドネイ。

    この場合は、早めに探索を開始した方が良いかも知れない。場所が割れているのなら、他者
   が横槍を入れるのは十分有り得る話である。

ミスターT「現地周辺の探索をしてみるか。」
テネット「向かわれるのでしたら、お供させて下さい。ブラックハウンドの件もありますし。」
ミスターT「ああ、助かるよ。」

    テネットの参戦は、大いに助かる所だ。先のテスト試合の様相から、相当な実力者であると
   痛感させられた。これは無論、リドネイもしかりである。

    ナーシャに関しては未知数だが、リドネイに匹敵する長寿の存在なら、戦闘力はそれなりに
   あると思われる。ぶっつけ本番になるだろうが、今は致し方がない。

    今回は俺達で探索に乗り出してみよう。ウェイス達は今も修行中なので、無理に誘う必要は
   ないだろう。今後の事を考えて、周りには強くなって貰うしかない。

    ともあれ、次の目的は定まったので、早速行動を取る事にした。先の昇格試験の場への赴き
   である。既に道具群は揃っているため、問題なく動けるだろう。

    それに、現状は手探り状態になるため、今は目の前の分かる目標へと向けて進むしかない。
   この繰り返しが、冒険者の醍醐味とも言えるしな。



    数週間前の昇格試験、再度その場へと訪れた。戦場となった場には何もなく、殺風景な様相
   が広がっている。今回は、パワーベアー達との交戦ではないため、戦闘に関しては無理強いを
   する必要はない。

    しかし、襲い来る相手に関しては、問答無用で潰すに限る。倒さねば、こちらが倒されるの
   だから。それに、あの戦闘を経験した手前、とにかく敵意在る者は無力化させるか、即座に
   潰した方がいい。

    改めて、過去にそこで戦闘が行われた場所に訪れたが、今は何もそこにはなかった。


ミスターT「試合会場にようこそ、な感じか。」

    皮肉を込めてボヤいてみせた。それを伺い、女性陣が苦笑いを浮かべている。ただ、その中
   のリドネイだけは当時の様相を知っている。激闘と死闘に近い戦いだったからか、表情を強張
   らせていた。

    テネットは援軍として現れただけだが、その惨状を目の当たりにしている。ナーシャは全く
   の初見だが、2人の物々しさを察して当時を思い浮かべているようだ。

リドネイ「あの時、マスターがいらっしゃらなかったら、敗退していたでしょうね。」
ミスターT「敗退はせずとも、昇格試験は失敗に終わっただろうな。ブラハウの増援がいたし。」

    当時を思うと、その戦いが激闘と死闘であった事を痛感させられた。必ずしも敗退するとは
   思っていなかったが、それでもその瞬間は危険極まりなかった。

    勝因は言うまでもない、入念な下準備と慎重な後手行動だった。何の準備もせずに、大胆に
   行動をしていたら殺されていただろう。戦術や戦略も功を奏した形だが、やはり下準備こそが
   最大の勝因である。


    これは、警護者の世界でも十分当てはまる。特に、重火器という致死性が非常に強い獲物を
   使うため、下準備無しで依頼に挑むのは自殺行為に等しい。

    ただ、その場凌ぎの依頼を行う場合もあるため、下準備無しで挑む事もある。その場合は、
   今までの実戦経験がモノを言ってくる。最後は、己自身の腕しか残らないのだからな。

    皮肉にも、警護者の生き様が異世界でも通用している。これらを見越して、ティルネアは
   俺を召喚したのだろう。他にも強者は数多いが、その中から俺を選んでくれた。

    ならば、彼女の思いを無碍にする訳にはいかない。遂行者としての生き様を、何としても
   貫いていってやるわ。


ナーシャ「・・・この魔素の集まりからして・・・いらっしゃいますね。」

    先陣を切る彼女が呟く。エルフ族のナーシャは、周辺に漂う力を察知する能力があるとの
   事だ。これはエルフ族特有のもので、リドネイやダークエルフ族にはないものらしい。

    逆に、リドネイ達の場合は、直感と洞察力が非常に優れていると言う。それはナーシャ達の
   比ではないらしい。完全なる特化型とも言える。

    防御ならエルフ族、攻撃ならダークエルフ族。この2つの種族は、攻守一体で真価を発揮
   するといった感じか。各作品であるように、お互いにいがみ合っていないため、協力すれば
   凄まじい実力を発揮してくる。

ミスターT「相手との対話は可能なのか?」
ナーシャ「一応・・・可能だとは思います・・・。」

    自信なさげ語る彼女。エルフ族の王族なナーシャがこれだとすると、非常に重苦しい感じに
   なるだろう。意思の疎通ができない場合、最悪は交戦状態になるかも知れない。

ミスターT「はぁ・・・最悪はティルネアに任せるしかないか。」
ティルネア(お任せ下さい。)

    俺の言葉に胸を張る彼女。ナーシャが無理だとしても、創生者たるティルネアであれば全く
   問題ないだろう。できれば確証を掴みたい所だが、彼女自身も初遭遇らしいので仕方がない。

    後半3へと続く。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

戻る