| アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝9 〜覆面の苦労人〜 |
| アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝9 〜覆面の苦労人〜 〜第1部・第07話 猫人族の三姉妹2〜 舗装された道路ではないため、馬車の揺れは結構なものだった。幸いにも、俺は生まれて この方、乗り物酔いは一切ない。どんな状況であろうが快調そのものである。 ただ、空と海の乗り物だけは勘弁願いたい・・・。アレだけは、どんなに頑張っても慣れる 事はない・・・。それ以外なら全く問題はないのだが。 異世界では、海の移動はあるかも知れない。流石に空の移動はないとは思うが・・・。 ティルネア(再び精神体は泣けてきます・・・。) ミスターT(まあそう言いなさんな。) そんな事を思っていると、ティルネアが念話で語り掛けてきた。人目を避けるために、実体 から精神体へと姿を戻している。実体で顕現している時は、実に生き生きとしていた。だが、 今はエラい落ち込んでいる。 一応、ラフェイドの街の主要人物には、ティルネアの存在は教えて回った。創生者自らが 世直し的な感じで行動をしている。異常とも思えるものだが、それだけ切羽詰っているのだと 感じ取ってくれたようだ。 それに、彼女は助言こそすれど、手を差し伸べる事は殆どない。唯一あるとすれば、今だに スキルを獲得していない人物への啓示だろうか。まあ、それは非常に希なケースではあるが。 リドネイ(王国に到着したら、どうされますか?) ミスターT(先ずは情報収集だな。お前はナーシャと共に行動をしてくれ。) ナーシャ(マスターお1人で大丈夫ですか?) ティルネア(私がいるので大丈夫ですよ。) こちらを心配してくれるナーシャ。だが、付与的にいるティルネアを知って、全く以て問題 ないと安心したようだ。そりゃあまあ・・・最強の存在がいるのだからな。 むしろ心配事と言えば、リドネイとナーシャの2人だろう。できれば、あと数人ほどメンツ が欲しい所だ。現地で協力者を探した方が良さそうである。 リドネイ(マスター、再び奴隷を買い入れてみては?) ミスターT(奴隷か・・・。) 手っ取り早く人員を手に入れるのなら、理に適うのは奴隷の買い入れだろう。リドネイを 招いたのと同じ様な感じだ。ただ、彼女の様な逸材の人物と、巡り逢えるかどうかが問題だ。 それだけに、リドネイとの巡り逢いは、本当に奇跡的としか言い様がない。 ミスターT(ラフェイドでも招き入れられたのだがな・・・。) リドネイ(街の規模によっては、更に凄腕の奴隷を得られると思いますよ。) ナーシャ(今は国軍や自警団にも、奴隷を用いている場合がありますし。) ミスターT(そうか・・・。) それだけ、人員不足と言えるのだろうな。まあ、下手な人物を登用して、裏切られるよりは 遥かにマシだろう。奴隷なら、首輪や隷属の魔法で束縛する事ができるしな。 それに、非常に言葉は悪いが、捨て駒としても用いる事ができる。その考えが嫌で、俺は 今も奴隷の概念には嫌悪感があるのだが・・・。 ティルネア(冒険者ギルドにも立ち寄りましょう。テネット様より、お手紙を預かっていますし。) ミスターT(職権の乱用万歳だわ。) 副ギルドマスターの力を使った、間違いなく権力とも言える様相。それに対してボヤいた 言葉を聞いて、噴き出してしまう女性陣。 ただ、念話での会話中の噴き出しなため、沈黙している現状からの爆笑だ。周りの目線が 非常に痛々しいのは言うまでもない・・・。 人員の確保に関しては、冒険者ギルドか奴隷を用いるしかない。あくまで、遂行者としての 役割を担うためだ。そこは割り振らないとならない。 それに、皮肉なまでに、ティルネアの存在が容認者といえる。全ては世上を救うための一手 となる。ならば、そこに要らぬ考えを抱くのはよろしくない。罪悪感が否めないものだが、 ここは割り振るしかない。 更に言えば、リドネイの様に奴隷の購入をするも、相手を解放すれば問題はない。まあ、 相手の素性次第となるが、そこは実際に確認するしかないだろうな。 ティルネアが望むのは、世上をプラスの力で覆い尽くす。全てとまではいかないが、可能な 限りの覆い尽くしは可能だと思われる。後は俺達次第という事になるが・・・。 王国への道程は、非常に悪路そのものだった。しかし、幸いにも盗賊群の襲撃はなく、悪路 を吟味するという嫌な皮肉さで幕を閉じる。本当に皮肉を込めたいぐらいだった。 道中は、盗賊群が出没する事を念頭に入れていた。そのため、襲撃対応分の時間を移動に 費やせたのが大きい。通常の行程の半分以下で、現地に到着できたのだ。 馬車の行者が言うには、悪路こそ目を瞑るものの、それ以外はすこぶる快調との事だった。 恐らくだが、ティルネアより発せられた凄まじいオーラ、それが連中を寄せ付けなかったの だと推測している。 この悪路に関しては、帝国への道程も同じらしい。舗装された道路に整えれば、もっと人々 の往来は多くなるだろう。当然、盗賊群の襲撃も増すとは思われるが・・・。 プラスの力で覆い尽くすのは、何も街にいる人々だけの問題ではない。こうした道路を使う 人々にも適応されるだろう。つまり、世上の全てを改善するという事だ。 こうなると、遂行者というよりは創生者代理である。ティルネア自身も、ここまで想像して いなかったようだ。今後の課題だと言い、色々と書き留めている。 ちなみに、書き留める物だが、創生者特有の資材らしい。考え的には、念話などで記載する 筆記用具と言うべきか。これはミオルディアなどの上位者も使えるようで、彼女に創生者補佐 を任せるに至っている。 ミオルディア自身も望む所のようで、テネットと共に裏で色々と画策している様子だ。最早 創生者軍団と言えなくもない。何ともまあ・・・。 まあでも、ティルネアが望むのは、全ての人物が住まう世界を改変していく。これこそが 本当の目的だと豪語していた。彼女や俺みたいな“遂行者”が担うのではない。 それを踏まえれば、ミオルディアとテネットの行動は実に理に適っている。本来あるべき 存在達に、本来行うべき行動をさせていくのだから。 これ、地球では各国の政府やら住まう人々、彼らが自発的に行っている行動である。全部が 全部そうだとは言い切れないが、諦めない限りは必ず達成できる概念である。 ティルネアの願う一念は、正にここに帰結してくるのだろう。その一端を担えるのなら、 実に光栄な限りである。今後も奮起せねばな・・・。 中半2へと続く。 |
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