| 〜第04話 火星へ〜 |
| バニッシュブレイダー 〜見えざる悪魔〜 〜第4話 火星へ〜 (作者の視点) オールド・アヴァロン近郊。全く人気がないこの地方にある旧研究施設跡内では、アリーナで 知り合ったシールドファイアが話した3人のレイヴンが捕まっていた。 ここはかつて強化人間作成機関であった、ソニックブレイズ社の跡地である。その中の最下層 に位置する研究所で廃棄同然のコンピューターを修復し、そこからハッキングを試みる女性。 彼女の名はピース、ハッキングが得意な美丈夫だ。その彼女の行動をタバコを吸いながら見つ める男性レイヴン、彼の名はナイト。ボクシングが得意というスポーツマンタイプの熱血漢。 そして部屋の壁に寄りかかり目を閉じる男性レイヴン、蒼い機体を駆るブルーファイターの 異名を持つという。そんな彼の名はアビスといった。 ピース「誰か気付いたかしら・・・。」 ナイト「お前のハッキングの腕前は超一流なんだろ、それぐらい出来て当然だろう。」 ピース「失礼ね、私の腕も完全じゃないわよ。」 アビス「・・・・・。」 彼らは旧研究施設奪還という依頼を受け、この旧ソニックブレイズ社跡地へ来た。だが依頼は デマで、彼らは何者かの仕掛けたトラップにより捕まってしまったのだ。 かつて強化人間作成機関と言うだけあって、非常に建物は頑丈。そして研究所なだけに窓が ない密室に近い状態であった。腕利きである3人のレイヴンも、こればかりはどうしようも なかった。 だが唯一の望みは、ピースが修復させた旧型コンピューター。これでSOS信号を発信し、 誰かがこれに気付いてくれる事である。3人はひたすら耐えて待ち続けた。 シールドファイアとアリーナで別れて約20時間後、外は珍しいほどの快晴に恵まれていた。 大破壊後には住めなくなっていた地上、今では何変わりない地球へと戻っている。これには ロストナンバーレイヴンズの活躍があり、陰ながら地道な努力が実った結果と言えよう。 ルクビュは再び車でネオ・アイザックのアリーナへ移動し、ガレージへ向かった。昨日修復に 出したトールサンダーを受け取りに行ったのである。 今回ルクビュはトールサンダーを大幅に改良。レーザーライフル・レーザーブレード・小型 ロケットランチャーを変更し、グレネードライフル・8連装小型ミサイルランチャー・中型 ロケットランチャー・高出力型レーザーブレードを装備する。そしてそれらを支える脚部の 変更も行った。積載量の多い軽量2足に変更し、前の姿より凛々しくなったと言うべきか。 メカニック「出来上がっているぜ。」 ルクビュ「ありがと。」 ルクビュは機体名をトールサンダーUに変更。シンプルだが前の機体より格段にパワーアップ している事は確か。あとは乗り手のルクビュがこれをどう操るか、彼女の力量が期待される。 シールドファイア「おはようさん。」 機体のスペックを再確認している所に、シールドファイアが駆け付けてきた。ルクビュは すぐに自分の愛機を見せつける。それはまるで幼い子供が玩具を他の子供に見せ付けている かのようであった。 ルクビュ「おはようシーファ。どう、新しくなった愛機は。」 シールドファイア「ミッション向けだな。これなら以前よりは戦いやすいだろう。」 ルクビュ「そうね、頑張らないと。」 そこに送れてリーブリルも駆け付けてくる。昨日までのロングヘアーな髪型とは違い、後頭部 でバンダナで束ねたポニーテールな髪型での登場。 リーブリル「おはよう。」 シールドファイア「おはようさん。」 ルクビュ「髪型変えたんだ、と言ってもバンダナで束ねてあるだけか。」 リーブリル「私なりの決意の現れよ。復讐が終わるまではロングヘアー、その後はショートヘアーに するわ。」 シールドファイア「何にしても女性はいいもんだ。」 正しくオヤジ言葉を話すシールドファイア。それを聞いたルクビュとリーブリルは苦笑いを 浮かべる。だが雰囲気は真剣みが混ざっている、さすがやり手のレイヴンである。 シールドファイア「さてと、行くとするか。」 リーブリル「そうね。」 シールドファイアとリーブリルはそれぞれ愛機が待機しているガレージへ行く。 ルクビュは目の前のトールサンダーUを眺めるとコクピットへ搭乗する。メカニックに頼んで おいたお陰で、計器類は全て起動済みだ。 ハッチを閉めると愛機を操作しガレージの外へ移動させる。先に外へ出たのは彼女であった。 (ターウェンの視点) ターウェン「来たか。」 しかし外へ出たトールサンダーUを出迎えたのは、俺のACブリューウェア。彼女は俺がその 場にいる事に驚き、内部通信を通して身体の安否を気遣う。 ルクビュ「ターウェン、大丈夫なの?!」 ターウェン「マリアに無理を言って出てきた、お前だけ危ない目に遇わせられないからな。」 ルクビュ「・・・バカ。」 ルクビュは目頭が熱くなる。自分を心配してくれての発言、これが彼女を大きく感動させた。 偽りでも何でも今の彼女にとって、俺の言葉は何よりの励ましになっていた。 マリア「全く・・・、不完全な状態で動いて。」 2人の元に近付いて来るACが1機。フロート型をベースに重武装で固めた、マリアの愛機 クルセイダ。内部通信からは彼女の肉声が聞こえてくる。 ターウェン「孤児院の方は大丈夫なのか?」 マリア「子供達だけでもしっかり身は守れます。私は運営をしているだけですから。」 ターウェン「すまない。」 そこにシールドファイアの愛機219式盾龍改と、リーブリルのマッドアーマーが現れた。 アリーナガレージの前に集結する5機のAC。 シールドファイア「見かけない顔が2人いるな、トーンちゃんやリーちゃんの友人か?」 ターウェン「ターウェン=リンビィルクウォートという、ルクビュが世話になったようで。」 マリア「マリア=シュピーゲルと申します。」 シールドファイア「あんたがターウェンか。トールちゃんが言うだけの事はあるな、かなりのやり手 だと感じるぜ。」 ターウェン「シールドファイアと言ったな。確か・・・一個師団に相当する戦車部隊の隊長を務めて いたらしいな。だがその隊は何者かに壊滅させられ、ただ1人の生き残りだと聞いた 事がある。」 俺は過去を詮索し、シールドファイアの素性を話しだす。彼は多大な戦果を上げた人物だが、 とある事情から追われる身となったと聞く。今は細かい依頼を地道ながらこなし、ひっそりと 生活しているそうだ。その彼が目の前にいる、ある意味俺等の先輩格であろう。 シールドファイア「博識だな、さすがトールちゃんが認めるだけはある。」 リーブリル「マリアさんも一緒なのですか?」 マリア「ええ、何だか胸騒ぎがするので。」 マリアの言葉には確信さが込められている。それにターウェンが身を持って味わっていた。 今まで感じた事のない不安と恐怖、ターウェンは心中で怖がっていた。 ルクビュ「とにかく行きましょう。フォックスをぶっ倒して一杯飲みたいわ。」 ターウェン「・・・そうだな。」 リーブリル「報酬は山分けよ、そこの所よろしくね。」 リーブリルらしい。彼女は復讐とは別に、資金を稼ぐ事に異常なまでの執着心がある。ただ 成金などにはなりたくないらしく、全て貯金しているという。今の世の中では珍しい人物だ。 その後俺等はオールド・アヴァロン近郊の旧研究施設へ向かった。 目的地へ向かう途中、依頼内容をリーダーのシールドファイアから聞く俺とマリア。彼から 内容を聞いた時、俺はは野郎らしい手口だなと思う。 人質を取ってはその者達を殺害する、これは彼の日常茶飯事に近い事であり、全くもって人の 域を大きく外れた輩であった。それに事故でもあるが、俺の両目から色を奪った奴でもある。 借りはしっかり返さなくてはな。 どれぐらい移動しただろうか。俺達はカーゴなどの移動手段を使用せずに、ブースターによる 移動を繰り返した。相手側に見つかった場合、分散して目的地へ行けるからだ。それに今の 世の中、AC自体の存在はそれほど珍しいものではない。人気がいない場所を移動している ACに誰が気を止めようか。 シールドファイア「見えてきたぜ、あれがそうらしい。」 前方に古い建築物が見えてきた。いかにも研究施設といった雰囲気で、森林の一角を切り崩し 建てられている。 シールドファイア「俺は例の3人のレイヴンを助けに行ってみるが、お前達はどうする?」 ターウェン「先に行っててくれ、お客さんが来た。」 俺はレーダーに近付くACらしき点を2つ確認した。これはフォックスなのか、それとも別の レイヴンなのか。直後内部通信を通して相手側から音声が響く。 レイヴン2「飛んで火に入る夏の虫。」 レイヴン1「ここが貴様らの墓場だ。」 声からして男性と女性の肉声が聞こえてくる。だがその声はフォックスのものではなかった。 ターウェン「シールドファイアは3人のレイヴンの所に、マリアは護衛で一緒に行ってくれ。俺と ルクビュ・リーブリルは奴等を叩く。」 シールドファイア「了解。済ませたら加勢にくる。」 マリア「気を付けて下さい、貴方の両目は完全ではないのですから。」 シールドファイアとマリアはACを安全な場所に待機させると、コクピットから降り研究所へ 向かっていった。俺とルクビュ・リーブリルは襲撃してきたレイヴンを迎撃しだす。 リーブリル「重装甲ACは任せて。」 リーブリルは砂色系の重装甲ACを相手に戦いだした。両方とも同じ重装甲AC。唯一の違う 点はリーブリルのACはブレード装備型、相手側はシールド装備型の点。つまりリーブリルの 方が無限大に攻撃できる。相手側は全ての武装を打ち尽くしてしまっては何もできない。 またリーブリルには達成すべき大きな目標がある、こんな所で負けていては話にならない。 俺の脳裏では勝敗は目に見えていた。 ターウェン「フォックスの差し金か?」 レイヴン1「そうだ、貴様を生きたまま連れてこいとの事だ。」 ルクビュ「それはどうかしら、お前が死ねば何もできないんじゃない?」 レイヴン1「フッ、言ってくれる。俺はハウンド、俺自慢の愛機ハンターを倒せるかな。」 ルクビュ「新生雷神トールをなめるなぁ!!!」 ルクビュはトールサンダーUをハンターに突撃させた。全く彼女らしい。猪突猛進の性格には 大きく悩まされる。俺は8連装ミサイルランチャーを展開し単発ずつの発射で護衛。突撃する トールサンダーU、それを護衛する複数のミサイル。 ハンターはエクステンションのミサイル迎撃装置を作動、俺が放ったミサイルを迎撃しだす。 もちろん迎撃だけでは彼女の猛攻を回避できないので、ブースターダッシュ移動をしながらで ある。 ルクビュは愛機をハンターに向け、更に加速をする。以前のトールサンダーとは違い、かなり のスピードだ。移動の勢いを利用し、右腕武器のグレネードライフルをハンターに放つ。相手 との距離は近く、放たれたグレネード弾は確実にハンターへ直撃する。 グレネード弾はハンターの右腕を破壊し、右腕武器を使用不能にさせる。更に反動で大きく 体勢を崩すハンター、そこに容赦なくレーザーブレードの斬撃が見舞われた。 以前のトールサンダーは最低攻撃力のブレードを装備していたが、トールサンダーUは新型 ブレードのショートレンジ型。腕から僅かながら放出されたブレードが、ハンターのコアを 突く。その威力は俺の愛機が持つブレードより強力で、数万度のプラズマガスで構成された剣 がハウンドを乗せるコクピットを貫いた。おそらく奴は即死であろう。 トールサンダーUがレーザーブレードをコアユニットから引き抜くと、電気系統のショートに よりジェネレーターに悪影響を及ぼし大爆発。ハンターは粉々に砕け散った。何とも呆気ない 最後である。 ルクビュ「ターウェンの敵は私の敵、容赦しない。」 この言葉を聞いた俺は、先手で飛び出したのはこちらを気遣っての行動だろうと思った。俺の 両目はまだ完全ではない、ゆえに彼女は俺の目として行動している訳だ。対戦ではあまり強く ない彼女だが、ミッションになると雷神トールの真の力が発揮されている。この状態で戦って みたいものだ。 しかし俺は彼女とは今後戦えない気がした・・・。 リーブリル「甘いあまい、この私に勝とうなんて不可能よ。」 一方リーブリルの駆るマッドアーマーは重装甲ACの武装を全て破壊。残るはインサイドの パーツとシールドのみ。さすが魔神の鎧と言われるだけあって、的確かつ凄まじい攻撃を 繰り出す。 リーブリル「エキドナちゃ〜ん、どうしたのかな〜?」 エキドナ「クッ・・・なめやがって・・・。」 激怒するエキドナだが、もう成す術がない。エキドナの愛機サンドウォールは逃げ回るだけで あった。 リーブリル「フォックスを殺るまでは死ねねぇんだよっ!!!」 マッドアーマーはオーバードブーストを発動、凄まじい勢いを纏い突撃。サンドウォールは 同じくオーバードブーストを発動、その場から逃げ出そうとしていた。 ルクビュ「逃げはダメよ。」 直後サンドウォールは8発ものミサイルを背中に受け、爆発でオーバードブーストが中断。 ルクビュがリーブリルに気を利かせ、相手を行動を不能にする。そこにマッドアーマーが レーザーブレードを発生させながら、サンドウォールのコア目掛けてブレードを一閃させた。 繰り出された斬撃はコアとレッグを繋ぐジョイント部分を真っ二つに切断。サンドウォールは ハンター同様ジェネレーターが電気系のショートの影響で、木っ端微塵に吹き飛んだ。 リーブリル「サポートありがと。」 ルクビュ「いえいえ。」 全く似たもの同士だな、それゆえに怒る事がない。または同性から成せる技なのか。増援で 現れたAC2機は瞬く間に撃破された。 一方シールドファイアとマリアは暗い研究施設を散策。3人のレイヴンを探して回った。 シールドファイア「お〜い!」 マリア「誰かいませんか〜!」 最下層まで向かった2人は、大声で助けに来たという事を知らせて回った。その声を聞いた ピースは、誰かが助けに来た事を知る。彼女の聴力は通常の人間の2倍近い。 ピース「?!・・・誰か来たみたい・・・。」 ナイト「本当か?!」 アビス「・・・俺にも聞こえた。」 ナイト「お〜い、ここにいるぞ!」 ナイトは腰のホルスターから拳銃を取り出し、壁へ向けて発射した。銃声音を聞いたマリアは すぐに3人がいる場所を割り当てる。3人が捕われている部屋は、研究所最下層の一番奥の 部屋であった。 マリア「大丈夫ですか?」 シールドファイアとマリアは部屋の前まで向かうと、相手側がいる事を再確認した。3人を 代表してピースがマリアに応え返す。 ピース「こっちは大丈夫。でも部屋が厳重すぎてビクともしないのよ。」 マリア「分かりました。扉周辺を調べてみます。」 シールドファイア「俺は扉の周辺を調べる、マリア嬢はコンピューター室を調べてくれ。」 マリア「了解。」 マリアは同階のコンピューター室へと向かう。シールドファイアは扉周辺を調べだす。その間 シールドファイアは3人に聞こえるぐらいの声で本人確認を行った。 シールドファイア「あんたらはアビス・ナイト・ピースの3レイヴンだよな?」 ピース「そうよ。」 ナイト「もうダメかと思ったぜ。」 シールドファイア「了解した。」 シールドファイアは扉周辺をくまなく調べたが、扉を開く装置らしきものはなかった。あとは コンピューター室へ向かったマリアが制御装置で扉を開閉するしかないと思った。 暫くして廊下の電灯が点灯し、3人が閉じ込められている部屋の電磁ロックが切れる。鈍い 音とも共に大きな扉が開きだした。 ピース「やったぁ〜、出られた〜・・・。」 ナイト「全く窮屈すぎたぜ・・・。」 3人とも衰弱しきった様子はなく、さすがはやり手のレイヴンと言った所か。 強者のレイヴンともなれば体力・精神力共に強くなる。これぐらいの事で根をあげていたの ではACを操る資格はない。 外に出た3人の元にマリアが駆け付けてくる。だがその表情は驚いた表情を浮かべていた。 シールドファイア「ありがとよマリア嬢。」 マリア「何がですか?」 シールドファイア「扉を開いてくれただろ、それに廊下の電気も。」 マリア「コンピューター室に入った途端、いきなり電源が復活したんですよ。部屋に入った途端、 電源が復活するようにしていたに違いありません。」 4人とも顔を顰める。どう考えても無人の研究施設、それに人の入った形跡はない。では一体 誰がこのような事をしたのか。 それぞれが脳裏で詮索しようとした時、地上の方から爆音が鳴り響いてきた。5人は急いで 地上へと戻る。 リーブリル「つ・・・強い・・・。」 マッドアーマーが一瞬で沈黙した。ヘッドパーツをレーザーブレードで貫かれ、完全に行動 不能に陥る。その横にはトールサンダーUが横たわっていた。既に脚部がない状態である。 フォックス「貴様らに用はない。用があるのはターウェン、貴様だ。」 漆黒に染まったフォックスのACシャドウ。腕武器が俺のブリューウェアに向けられている。 リーブリルの名前と機体を語っていた時は力をセーブしていたらしく、今の彼はターウェン達 を凌駕していた。 ターウェン「断ったら?」 フォックス「断れない筈だ、2人の命と引き換えではな。」 直後マッドアーマーとトールサンダーUの近くに1体のACが現れる。赤く血のような機体色 のAC。武装はシャドウと差ほど変わらない。 レイヴン「おかしなマネをしたら・・・2人を消す。」 凄まじい殺気を帯びた声が内部通信から流れてくる。しかも相手は女性、これほどまでに 憎しみが込められた言葉は初めて聞いた。 フォックス「俺は寛大だが、シェリスは気性が荒いからな。言う事を聞かないと簡単に2人を殺す 事になる。」 ターウェン「クッ・・・。」 俺はシェリスの殺気が本物だという事が痛いほど分かっている。それに例えシェリスを倒せた としても、フォックスが2人を殺すだろう。彼女達を殺させる訳にはいかない。 俺は仕方なく愛機の武装を解除した。 シェリス「いい心がけだな。」 フォックス「では付いてきてもらおう、行く場所は火星だ。」 俺はフォックスとシェリスの言われるがままに動いた。ルクビュとリーブリルの安否が気に なるが、マリア達が何とかしてくれるだろう。 そして俺はこの時、今の人格で彼女達と二度と会えない確信がした。 (ルクビュの視点) 私は開かないコクピットハッチを無理矢理抉じ開けようとしたが、ビクともしなかった。 どうやら電気系統がショートし、開閉システムが壊れたと思う。 暫くするとACが近付いて来るのが分かった。ホバー音が止むとコクピットハッチが鈍い音で 抉じ開けられ、外の光が内部を照らしてくる。抉じ開けたのはマリアさんのACクルセイダ、 側にはリーブリルがこちらの安否を気に掛けていた。 リーブリル「大丈夫ルクビュ?」 ルクビュ「ありがと、助かったわ。」 私はリーブリルに手を引かれると外へと出る。そこにはシーファのAC盾龍改と、見かけない 3人のレイヴンが盾龍改の上に乗っていた。 マリア「ルクビュさん、ターウェンさんはどうしたのですか?」 ルクビュ「・・・奴等に連れ去られた、私達を助ける為に・・・。」 シールドファイア「連れ去られたって・・・フォックスとやらにか?」 リーブリル「そうよ。それにシェリルと言う女性レイヴンも一緒にね。」 悔しかった、何もできないでまたターウェンに助けられたなんて・・・。それに彼は身体が 完全じゃない、フォックス達に何をされるのかと考えると腹が立って仕方がない。 シールドファイア「どこに行くと言っていた?」 ルクビュ「火星よ。」 シールドファイア「火星か・・・。」 マリア「とにかく一度戻りましょう。休んでから作戦を考え、ターウェンさんを助けないと。」 すぐにでも彼の後を追いかけたいと思っていたが、マリアさんの発言にも一理ある。私達は 一度ガレージに戻る事にした。 行動不能のトールサンダーUはマリアさんのクルセイダに、リーブリルのマッドアーマーは 盾龍改に引き摺ってもらい帰還する。 機体を修理しターウェンの居場所を突き止めたら、必ず火星へ行ってやる。私は心の中でそう 決意した。 |
| 〜キャラクター&機体投稿者〜 トーン殿 ラーク殿 パペットマン殿 ワタル殿 えのき殿 アビス殿 |
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