5th 堕天使再び
5th
堕天使再び


(・・・あのミッションから2日・・・あの男、ロキとかいったな・・・あの男・・)
「アビス!!」
アビスの思考をピースとナイトの声が中断させる。
(・・・またあいつ等か・・・いっそ無視するか?)
その考えは二人が部屋に勝手に入ってきたことで失敗に終わる。
「あんだよ・・・起きてんじゃねぇか・・・」
「・・・早く、出てけ」
「ちょっとした情報持ってきてあげたのに・・・?」
「・・・早く話せ・・・そして出てけ。」
「・・・・・・・お前の機体、完成してたぞ・・・。」
「・・そうか」
話を聞くと自分から部屋を出てってしまった。
「あ、行っちゃった〜・・・」

ガレージ
「・・・これか。」
機体は既にガレージに配備され、いつでも出撃できる状態にあった。
「どうよ、名前の方はお前で勝手に決めてくれ。」
背後からカレントリィが話し掛ける。
「あぁ・・・」
「それと、ディスティニィが呼んでたぜ。」
「・・・・・。」
無言でアビスはガレージを去っていった。

指令室
「・・・俺以外の奴に頼んだらどうだ・・・?」
「他にも色々と仕事があってね、結構多忙なのだよ。」
「・・・」
アビスが口を開きかける前にディスティニィが喋りだした。
「今回の任務は元・ジオ社専属レイブンの排除だ、奴は社の機密データを盗み逃走中、現在はザーム砂漠にいるようだが・・・」
「了解、出撃する」
「・・・レイヴンの生死は問わないそうだ」
そこまで聞いてアビスは部屋を去った。

ガレージ
「お、早速新機体でのミッションか?」
ガレージにはナイト、ピースがいた。
「今度は何の用だ・・・」
「何って、暇だから見送り」
「・・・」
ピースの言葉に返事をせずそのままコックピットに座る。
「デス・フォ・ステアズ・・・発進!」
『死への階段』そう名づけられた新たな死神は飛び立った。

ザーム砂漠
砂漠に白い色の中量ACがいた
「何者だ・・・!?」
「貴様を消しに来た、レイブンだ・・・。」
「クソ、もう来たか!!」
ACはショットガンを放ちバックブースターで後方に逃げる。
「逃がすか・・・」
デス・フォ・ステアズのレーザーライフルが敵ACの右腕を吹き飛ばす。
「くっ・・・これならどうだ!」
垂直ミサイルがデス・フォ・ステアズを一斉に狙う。
「こんなもの・・・」
オーバードブーストでミサイルをかわしてそのまま敵ACに直進する。
「う、うわぁぁーーーーーー!!!」
ブレードが虚しく空を裂く。
「終わりだ・・・」
デス・フォ・ステアズの左腕から青いブレードが放たれ、敵ACのコックピットを貫く。
「これで終わりか・・・呆気ないな・・・。」
アビスが帰還しようとすると、突如レーダーに機影が写る。
「・・・残党か?」
デス・フォ・ステアズが振り向いたころにはすでにその機体は肉眼で確認できる位置にいた。
「・・・遅かったようだな・・・だが、まぁいい・・・」
その機体は赤と黒で構成された軽量機、右腕にはバズーカパーツこそ異なったがそれがロキであることは明白だった。
「ロキ・・・」
「フ・・・こうも早く再開するとはな・・・」
「・・・・・・。」
「まぁ、いい・・・・この前の決着を付けようじゃないか・・・。」
ラストヘル・ツヴァイが戦闘体勢に入る。
「・・・まて、お前にひとつ聞きたいことがある。」
「何?聞きたいこと・・・?」
「・・・以前、お前に会った時、妙な感覚を覚えた、普通じゃない・・・お前は何者だ?」
「!!・・なるほど・・・お前は・・いや、お前も同じか・・・」
「・・・?・・・どういうことだ・・・?」
「なに、お前には関係のないことだ、どうせここで死ぬのだからな・・・!」
ラストヘル・ツヴァイが再び戦闘体勢をとる。
「ちっ、聞くだけ無駄だったか・・・。」
デス・フォ・ステアズも同様に戦闘体勢に入り、攻撃を仕掛けようとした、その時。
「アビス!!」
アビスを呼ぶ声と同時に、無数のレーザーが降り注ぐ。
「何!?」
「カレントリィ!?」
「アビス、任務は終了だ、帰還しろ。」
「・・・だが・・」
「奴ならもう消えた、それとお前の任務はもう終了だ、早く帰還しろ。」
レーザーによって舞い上がった煙が晴れた時、すでにそこにラストヘル・ツヴァイの姿はなかった。

タロットofナンバー、ガレージ
「カレントリィ・・・。」
「・・・どうした?」
「あいつは何だ?」
「ロキか、あいつの行動はよくわからん、何度かここにも襲撃してる・・・」
「そうじゃない、あいつは一体『何』なんだ?」
「・・・・。」
ガレージにしばらく沈黙が続く、そして、カレントリィが質問に答える前にアビスが口を開いた。
「いや、いい・・・すまなかったな、止めてしまって」
「あ、おい、アビス!」
ガレージから出て行こうとするアビスをカレントリィが呼び止める。
「何だ?」
「・・・・お前、ここに入った理由は『ある男への復讐』らしいが・・・誰なんだ?」
「ある種族を全滅させたレイブンだ、誰だかはお前には関係ない、俺はそいつを殺すためだけに生きる。」
「・・・その復讐のためならば自分の命さえ捨てられるのか?」
「当然だ、俺はやつを殺す、それだけに生きる。」
「・・・・・下らないな、つまらない人生だ。」
「何!?・・・貴様に何が分かる!家族も、仲間も殺された怒りが!」
アビスの叫び声がガレージにこだまする。
「分かる。」
「!?」
「だが、復讐して何になる?そいつを殺したらお前の家族は戻ってくるのか?殺した先に何がある?
悲しいならせめてその人の分まで生きるんだな。」
「・・・!!・・・貴様には関係ない!俺の生き方は俺が決める!」
そう言い残し、アビスはガレージを去っていった。
「俺の生き方は俺が決める・・・か・・・その考えがすでに奴の思う壺なんだがな・・・仕方ない・・・。」

アビスの部屋
「・・・そうだ、俺は俺の意思でここまで来たんだ・・・今更他人の意見なんて・・・!」

その夜・・・
アビスは部屋を出て、ディスティニィの部屋へ向かって行った。
「・・・・復讐の時が来た・・・待っていろ・・ディスティニィ!!」
〜投稿者 アビスさん〜

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